++ 記憶の中へ
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■ 3本のタオル 2006年08月22日(火)
 夕方から7時頃にかけてのこと、バケツの水をひっくり返したような雷雨になった。雷の稲光が切れかけた蛍光灯のようにピカピカしてそりゃものすごかった。


 海渡は雷が嫌いなので恐がるかなと思ったら意外と平気だ。
 それでも恐がると思ってテレビを観ていた海渡の隣に寄り添ったら、海渡のほうが私の脚をポンと触って

「だいじょぶだよ」

 どうも私の方が恐がっていると思ったらしい(苦笑)

 雷はおさまらず雨はますますひどくなっていった。
 そのうちに海渡がなにやら動き回っている。

「これはとうさんの、
 これはまりかちゃん(姉)の、
 これはりゅうへい(兄)の」

 モニターを見つめる背後で声がする。何やってんだろうと振り向いたら、テーブルの上にタオルを並べていた。まだ帰宅していない3人の家族分のタオルを用意していたのだった。

 「父さんたちのタオル用意したの?」

 「そだよ。びちょびちょ なってるから」

 もう!私は海渡のこういうところがたまらない!
 ぎゅっと抱きしめて

 「海ちゃんの優しいところだ〜い好き」

 海渡は嬉しがるでもなく、びっくりするでもなく、相変わらずのポーカーフェース。

 その後、次々とまさにずぶ濡れになって帰ってきた家族に、タオルを持って走って行った海渡だった。




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