■ 3度目の行方不明(その2) |
2006年05月30日(火) |
3度目の行方不明は、それから約1ヵ月後の昨日の夜に起きました。 いつものように、長男が祖母宅へ帰るために玄関に行こうとしたとき、海渡が兄の後ろをついていきました。その後ろから私が
「海ちゃん、ついて行っちゃダメだよ」
と釘を刺すと、海渡は「えへへ」と笑いながら玄関横の自分の部屋(かつて兄の部屋だった)に入ってバタンとドアをしめました。 → Open more〜 中をのぞくと、おもちゃで遊んでいたので、それで安心してそのままリビングに戻った私が甘かった・・・・・
ほんの数分後にもう一度海渡の部屋をのぞくと、もういなかったのです。夜、8時過ぎ、またも夫と探し回ることになりました。
夫より遅れてマンションの1階へ出たところ、同じマンションに住む同級生の女の子のお母さんが帰宅してきたところで
「海ちゃんが、神社の方へ歩いていたよ」
と教えてくれました。祖母のマンションの全く逆方向です。びっくりしていると、ワゴン車が入ってきてやはり同級生の子のお母さんが運転席から
「海ちゃんが、神社の向こうへ歩いていったよ」
と教えてくれました。このまま車で迎えにというありがたい提案をすぐ近くだから追いつくからと遠慮して神社の方へ探しに行きました。が、神社についても姿がありません。そこへワゴン車に同乗していた同級生の男の子が走って来て「こっちへ歩いて行った」と案内してくれました。
ところが、まったく姿がありません。街路灯も無い暗くて細い道から「海ちゃーーん」と呼んでも返事がありません。脇道に入ると水を入れたばかりの田んぼや用水もあります。そちらのほうへ同級生が探しに行ってくれて、私はそのまま道なりに探し歩きました。
とうとう大通りに出たのですが、どうしてもなじみの薄いこの通りの先へ行ったとは思えず、もう一度戻ることにしました。改めて来た道を見ると真っ暗な穴の中へ入っていくような暗い暗い道でした。
時々、夫から携帯で連絡が入るのですが「どこにもいない」という言葉ばかり。頭の中で、子どもが殺されたり、車にひかれて山道に捨てられたりするテレビのワイドショーが思い出され、ぞっとしながらも絶対にこのあたりにいるはずとふと横を見たら・・・・
たった一つある街路灯の光が当たる壁の隅っこで下を向いて立っている海渡がいました。
「海ちゃん!」
駆け寄ると、目から涙がこぼれていました。おまけにおもらしも、そしてやっぱり素足のままでした。 夫に連絡して、その場で待っていると、夫と、さっきまでいっしょに探してくれたお友達の男の子とそのお母さんが自転車で駆けつけてくれました。
「ずっといっしょに探してくださったんだよ。」と夫。
何度もお礼を言い、海渡にも謝らせようとしたのですが、下を向いたままやっぱり何も言えません。無理やり上から頭を下げさせ、お礼を言って家路につきました。
帰宅後、海渡とお風呂に入った夫に、どうして逆方向に行ったのか言っていたか聞いたところ、今回は何もしゃべらなかったそうです。
探しながら長男に電話したときも、逆方向には行ってないというし、どうしてお祖母ちゃんちと全く逆の神社の方へ歩いていく気になったのか分かりません。あちらの方向にあって海渡が興味のあるものといえばレンタルビデオ屋さんですが、兄の後を追ったのだとしたらやっぱり祖母のマンションの方へ行くだろうし、どうして逆へ行く気になったのか、どう考えても分かりません。
それにしても、一度部屋に入るフリして改めて出ていくとは・・・・
「ぜっ〜〜たいに黙って出て行ってはいけません! 海渡がどこかへ行っちゃうと、父さんも母さんも悲しくて泣いちゃうよ」
海渡はじっと私たちを見つめていましたが、やっぱり何も言いませんでした。
外だろうが、家の中だろうが、まだまだ当分の間、絶対に目を離してはいけないということですね。
それにしても、3度の行方不明とも、偶然なのか奇跡なのか海渡を知る方が必ず居合わせるということに、驚きとともに感謝しています。
見つけて保護してくださった方、いっしょに探してくださった方、本当にありがとうございました。
|
|