++ 記憶の中へ
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■ はなまる 2005年10月28日(金)
 特学の先生が出張などでみえないとき、海渡は補助の先生にそばについてもらいながら普通学級の授業を受けることがあります。

 先日もそんな日があったようで、普通学級でやった九九のプリントを持ち帰りました。
 百ます計算の掛け算バージョンで、たてとよこにランダムに書いてある数字を掛け算するというものです。これをみんなはタイムを計って計算します。時々、白紙のままのプリントを持ち帰ることがありましたが、この日の海渡のプリントには、ますの中に数字が書き込んでありました。

 海渡は掛け算ができません。
 
 スタートの合図とともに、漢字の書き取りのように立て一列に一番上に書いてある数字を書いていったのでしょう。同じ数字が一番下まで書いてあります。文字を書くということがあまり好きでない海渡ですが、最後のひとますまでしっかりと同じ数字が書いてありました。

 タイム欄には「5分28秒」と書いてありました。

 5分半も海渡が一生懸命数字を書いたということに驚きました。
 みんながスタートの合図とともに、一生懸命掛け算プリントをしているのを見て、自分もやらなくてはと思ったのだと思います。

 足し算も引き算も掛け算も割り算もできないけれど、みんなが一生懸命やっているのを見て、自分なりにできることをやったということに、親バカですけれど、ちょっと感動しました。いつもいつもこんな風に頑張っている訳ではないのでしょうが・・・・

 プリントには、大きな大きな花丸が書いてありました。
 九九ができた花丸ではなくて、一生懸命頑張った花丸です。

 「すごいねぇ!」

 と言うと、海渡はちょっと得意げに私を見ずに笑いました。
 みんなと同じことはできなくても、同じように頑張ることはできるんだよね。



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