++ 記憶の中へ
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■ コピー 2005年05月09日(月)
 海渡が「コピー」と言う言葉を覚えたのは、テレビゲームからだった。
 海渡はRPGゲームをしても、ゲームのストーリーなどは全く理解できない。だから、いつも同じところを行ったり来たりしている。それはそれで楽しんでいたんだけれど、お兄ちゃんがどんどん先へ進むのを見てお兄ちゃんが進んだところまでやりたがった。それで、海渡のメモリーカードにお兄ちゃんのをコピーさせてもらった。

 ある日、海渡はメモリーカードの中を間違って「消去」してしまった。「また、お兄ちゃんにコピーしてもらおうね」と言って、コピーしてもらううちに、「コピー」がどういう意味かわかってきたらしい。

 ある日、鏡に写る自分の顔を見て

「こぴーだ」

と言った。鏡の自分を「コピー」と言う、その発想にびっくりした。考えて見れば確かにコピーだ。

 そうかと思えば、面白いテレビ番組があると

「これ こぴー して」

と言う、そう、ダビングのこと(笑)

 そして、海渡用のパソコンを掃除しているうちにブラウザを削除してしまい「海渡タブ」(IEではなくタブブラウザを使っていて「かいと」というタブが作ってあり、いろんなWebサイトが登録してある)がなくなったときも、

「海ちゃんの ない! こぴーしてよ」

と言った。元通りにしてという意味。

 海渡にとっては「コピー」は「同じもの」とか「同じにする」という意味らしい。
 ちゃんとそれなりに意味がわかって「コピー」という言葉を使っている。

 ひとつの言葉を覚えて、それを自分なりに応用している。
 言葉が海渡の中で、ちゃんと生きているんだなと思う。

 普通の8歳の子どもに比べたら海渡の中の語彙は圧倒的に少ないけれども、でも知っている言葉を海渡なりに考えて使って表現している。

 それって、すごいことだなと思う。



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