最近の海渡の登下校がめっきり楽になった。 朝は「ひとりで」という海渡の意志を尊重して、「行ってきます」「行ってらっしゃい」と送り出す。
体を左右に揺らしながら歌を歌い、ご機嫌で歩いていく後姿を見ていると、なんともいえない気持ちになる。青いランドセルにぶら下がった小さなぬいぐるみが笑いながら揺れている。それを見ていたら「今日も元気で頑張ってね」と願わずにはいられなくなる。
以前ならそのすぐ後をこっそり追いかけていたが、最近では、ベランダから集合場所の公園へ歩いていく姿を確認してからこっそりと降りていく。ときには降りて行くともう集合場所から出発した後だったりして、あわてて後を追うこともある。
集合場所が公園なので、ブランコに乗りたくて出発の時間になっても動かない日もあったけれど、最近はそういうことも少なくなって知らない間にちゃんと並んでいたりする。
歩くのが遅い海渡がいるため、海渡のいる班は他の班よりも進むスピードが遅い。おまけに海渡の歌う声が大きいので遅れて後を追いかけても、すぐに見つけることができる。しかし、あの歌声は近所迷惑じゃないかとちょっと不安になったりして・・・。でも、海渡の歌は海渡の元気のバロメーターでもあるので、歌っているうちは安心だ。
帰りは学年下校の日も1・2年下校の日もメンバーは同じで、同級生の女の子二人と3人で帰ってくる。この女の子たちが本当に海渡の面倒をさりげなく自然にみてくれている。通学路には犬を飼っている家が多く、時々海渡がその前で動かなくなると気長に海渡が飽きるまで付き合ってくれたり、うちへ報告に来てくれたりする。
私がもたもたしているうちに、海渡がひとりで帰ってきたこともあって、以前に比べたら本当に楽になった。とはいえ、やっぱり何があるのか分からないのでできる限り途中まで迎えに行っている。このときに女の子たちから今日の海渡のことをあれこれ聞くのも楽しい。
いつかはきっとこういう日が来るとは予感していたけれど、実際にこんな風にちゃんと学校へ行き、にこにこと帰ってきてくれる海渡を見ると、改めて子供の伸びる力はすごいなぁと実感する。
先日、保育園の頃のお便り帳を見つけ出して眺めていた海渡に
「保育園と小学校とどっちが面白い?」
と聞いてみた。答えはすぐに返ってきた。
「がっこー!」
当たり前という顔だった。 そっか、良かったねぇ。ほんと、良かった。
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