++ 記憶の中へ
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■ ともだち 2004年08月02日(月)
 最近の海渡を見ていると、以前にも増して友達を求めていることがよくわかる。
 本屋さんの絵本コーナーで、見ず知らずの同じ年頃の子供がしゃがみこんで本を見ていると、自分も一冊本を持ってその知らない子のとなりに座り込んで本を開くということがよくある。ぴったりと体がくっつくぐらいにすわるので、たいていの子はびっくりして海渡の顔を見る。そのまま一緒に本を見ている子もいるし、海渡との距離を離す子もいる。海渡はどちらでもおかまいなしだ(笑)

 毎日マンションの公園に行くのは、大好きなブランコに乗りたいからでも、滑り台にのぼりたいからでもない。友達と遊びたいからだ。だから、ベランダから公園を見て、誰も遊んでいないと出て行こうとはしない。

 逆に一人でも誰かいると、「おともだち、いた!」と喜びいさんで出て行く。ところが、公園にいる子供達がどこか別の場所へ移動するとなると、置いていかれるのか、私との約束を守っているのか、所在投げにしょんぼりしていたり、学校へ行く途中の端の上で裸足で川に小石を投げて遊んでいたり、公園の近くの路上の端っこに座り込んでいる海渡をみつけることが多くなった。友達の後を追いかけてきたのだろう。

 そんなときは「お友達はどこかへ行っちゃったの?」と聞いても黙ったまま口を開こうとしない、時には涙を浮かべていることもあって、少し胸が痛むこともある。

 今日は出校日。
 夏休み前、金曜の夜に「明日は学校お休みだよ」と言うと「やったー」とガッツポーズだった海渡に「明日は、学校だよ」と言ったら「わーい、わーい」と大喜びだった。

 「学校に言ったら誰がいるのかな?」と聞いてみた。てっきり先生の名前が出ると思ったら海渡の返事は「おともだち」だった。

 夏休みに入って毎朝8時過ぎに起きていたのに、今朝は6時に起きた。夏休み前、登校前に私がテレビを消すと怒っていたのに、今朝はすんなり立ち上がった。そして「ひとりでいく」と行って、エレベータに向かって走って行った。こっそり集合場所へ行くと、班長さんの「並んで」の声にランドセルも背負わずに立っている。どうしたのかと見に行くと、小さなバッタが入った帽子を二つ折にして大事そうに持っていた。なるほど、これがあったからランドセルが背負えなかったのだ。

 歩きながら「そのバッタ、学校へ持って行って、誰に見せるの?」と私。このときもてっきり「せんせい」と言うと思っていたら、返事は「おともだち」。途中でバッタが逃げてしまって悲しそうな顔で「せっかく・・・」と言いながら、それでも立ち止まらずに歩いていた。泣き出すか怒るか動かなくなると思ったのに、一度も立ち止まらず歩いていた。

 学校で友達に会えるという期待がそうさせるのか、ちょっぴり精神的に成長した海渡を見たような気がした。

 それにしても、親は友達の代わりにはなれない・・・という言葉を近ごろよく思い出してしまう。



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