++ 記憶の中へ
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■ 飛びたい気持ちと飛ばせてやりたい気持ち 2004年06月18日(金)
 一人で公園へ行くのもかなり慣れてきた海渡。
 5分おきにベランダからのぞいていた私もいつしか、10分おき15分おきになってきた。公園は不思議なところだ。さっきまでブランコは満員、砂場にもジャングルジムにも子供達がたくさんいたのに、10分後にのぞいてみたら、海渡ひとりがポツンとブランコに乗っていることもある。
 
 子供達はあっという間にどこかへ行ってしまう。誰かの家か、町内の他の公園か、小学校か・・・・子供達はめまぐるしく移動している。その動きのめまぐるしさに海渡はとうていついていけない。

 さらに、子供達がたくさん集まるとそれはそれで、いろいろな問題が起きる。先日のようなこともあるし、この間はお金を持っていた同級生に缶ジュースを買ってもらい、このことが先生に知れて、お金を持っていた子が注意されることになってしまった。学校では、お金を持ち歩かない、買い食いをしない、という決まりがあって折に触れ子供達には注意しているのだそうだ。ただ、おやつ代わりにお金を置いていく家庭もあり、なかなか徹底しないと先生は嘆いていたけれど・・・・

 また、別の日には公園へ遊びに行ったと思ったら、30分ほどしてあわてて戻ってきて、「ただいま」も言わずにキッチンへ走って行き、いつもお菓子が置いてあるレンジの上に両手を伸ばして「おかし!おかし!」と言う。おやつは食べてから出て行ったし、お腹が空いたのなら私にそう言うはず。どうも公園で誰かがお菓子を食べていて「海ちゃんも持っておいで」とでも言われたのだろう。公園へはお菓子を持って行ってはいけないことをじっくりと教えた。

 子どもの世界で起こる様々な出来事。普通の子供達には何でもないことでも、海渡はそれらひとつひとつの出来事の良い悪いを判断することはできない。だからと言って、それが怖くて、手元に子どもを抱え込んでしまうのもどうだろう。みんなの中へ飛び込んで遊びたい気持ちを無理に押さえ込むのは親離れしようとしている子どもの芽を摘んでしまうことになってしまう。

 でも、住所もろくに言えないハンディのある子供をたったひとりで、学校という枠のない子どもだけの世界へ放り出す私も、もしかしたら無責任な親なのかもしれない。

 夫は公園へ行くときは私もついていったほうがいいと言う。
 でも、この公園は海渡の小学校の子どもたちが遊びに来るので、学校の子どもたちを信じている、信じたいと言う気持ちがある。
 そして何より、親の羽根の下から一人で飛んで行こうとする海渡の気持ちを思うと、私は多少のことがあっても一人で飛ばせてやりたいと思う。



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