++ 記憶の中へ
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■ ふたつの教室とふたりの先生 2004年06月01日(火)
 海渡に「何年何組?」と訊くと、「にねんいちくみ」と答える。「先生は?」と訊くと「○○先生」と2年1組の担任の先生の名前を答える。
 でも、公園で花を摘んでいるときに「先生にあげる」と言って出てきたのは特学の「※※先生」の名前だった。

 どうやら、2年1組と特学という二つの教室と、○○先生と※※先生という二人の先生が海渡の中でバランスよく存在しているらしい。

 小学校では、海渡は国語と算数は特学で先生と1対1で勉強して、そのほかの授業や給食、行事は2年1組で過ごしている。特学の先生が2年1組へ海渡の補助として入ってくださることもある。二つの教室と二人の先生のあいだを行ったり来たり、海渡の中ではそれがごく自然なこととして受け入れられているようであり、また2年1組の同級生たちも「海ちゃんは、国語と算数を※※先生といっしょに頑張っているんだよ」と、2年1組の○○先生から教えられている。

 とはいえ、低学年の国語と算数は、一日の授業の半分近くを占めるので、学校生活の半分をみんなと離れて特学で過ごすのは、現実的な教室の距離はもちろん、同じ時間を過ごす同級生としての一体感が薄れてしまうのではないか、だんだん「特学の海ちゃん」としてみんなとの心の間に見えない線ができてしまうのではないかという不安も正直言って持っていた。

 でも、女の子から時々もらってくる手紙、授業参観に行ったときに海渡の周りに必ず何人かの友達がいたり、遊びに来てくれる友達の話の中から海渡がちゃんと2年1組のひとりとして存在していることが少しずつ分かってきて、ああものすごくいい状態、いい環境の中でのびのびと過ごしているんだなぁと感じることができるようになってきた。

 今まで小学校の中で、一度も海渡のことを偏見や差別の目で見る子どもに会ったことがないというのは、本当に嬉しいことだし、それだけ学校側の毎日の指導や配慮が行き届いているということの証でもあると思う。

 二つの教室と二人の先生。
 海渡はもしかしたらとってもぜいたくで幸せな小学生かもしれない。



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