++ 記憶の中へ
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■ あったかい会話 その2 2004年05月19日(水)
 きのう、登校のためにマンションのエレベータに乗ったとき、通学班の班長(6年生)さんも乗り合わせていた。
 時々、彼は何気なく海渡の手を触ったりする。このときも、何気なく海渡の顔を覗き込んで、さらっと言った。

「海ちゃん、よだれ出てるよ。拭いてもらや」

 海渡の口元を見たら、よだれが泡のようになって口の下にいっぱいついていた。すぐにティッシュで拭いてやって、きれいさっぱりした顔になって、もう一度班長さんの方を見てニッコリ笑った。

 普通、子どもはよその子の「鼻水」とか「よだれ」を汚がったりすることが多い。露骨に「うわぁ」と言って飛びのく子もいたりする。

 特に、ダウン症の子どもは体質的に鼻水やよだれが出やすく、一般にこういうものはあまり見て気持ちの良いものでもないし、正直な子どもたちが「汚い」と言うのもよくわかるので、けっこう親は神経質になっていたりする。

 だから、このときの班長さんの言葉は、ほんのちょっとした何気ない気持ちから出た言葉なんだろうけれど、ものすごく嬉しかった。心の中がじわ〜っと暖かくなった。狭いエレベータの中で一緒に乗り合わせた子供達も見ていたと思う。もし、「うわ、よだれが出てるよ、汚い」と彼が言ったならどういうことになっていただろう。みんな、どう思っただろう。

 そう思うと、彼の優しさが嬉しい。
 海渡は本当に、いい環境にいるんだなと改めて思った。

 ありがとう。




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