++ 記憶の中へ
Written by free
Photo by
Designed by caprice*



■ 出会いとわかれ 2004年04月07日(水)
 海渡の新しい先生は、ほかの学校から転任してみえた先生だった。

 海渡の小学校では、校務主任が特学の担任を兼任するのが慣例なので、校務主任である前の海渡の担任が転任していかれたということは、今学校内にいる先生が校務主任にならないかぎり、他から転任してくる先生が特学の担任ということになる・・・と薄々予感はしてはいた。

 まさか、その通りになるとは思わなかったけれど・・・

 今日、新しい先生と初めて会い、お話をした。
 お話した感じでは、海渡を安心してまかせられそうな感触があった。かつて、ダウン症児と接したこともあったそうで、全く初めてだったという前の先生とは違い、その点ではちょっとだけ安心感があった。

 今日の始業式で新しい先生が海渡についていたとき、海渡は眼を合わせようとせず、先生と距離をとっていたらしい。何となく海渡の気持ちが分かるような気がした。

「このひと、だれ?」

っていう気持ちだったんだろうね。

 あとで、海渡は私に

「きょう、○○せんせい、おやすみ」

と言った。○○先生というのは、今までの特学の先生のこと。今までも出張で時々お休みすることがあったので、海渡は今日はお休みなんだと思ったんだろう。
 思い切って

「○○先生は、ほかの学校に行ったんだよ。
 海ちゃんの先生は※※先生になったんだよ」

と言った。海渡は何も答えなかった。

 ○○先生はもう新しい学校へ行ってしまったけれど、明日は離任式で最後のお別れにみえる。海渡は、ほらやっぱりお休みだったんだって思うだろう。そして、本当にいなくなった次の日から、少しずつわかっていくんだろう。

 別れがあって、出会いがあって、その数だけ大きくなれるといいね。
 




backINDEXnext


My追加