「今日はひとりで行くの?お母さんと?」
朝、こう尋ねると海渡は決まって「ひとりで」と言う。 そして「行ってきま〜す」という声とともに、ひとりで意気揚々と出かけていく。
が、ここのところ、尾行すべくエレベーターで下へ降りていくと、集合場所の公園へ行かず、反対側の緊急車両のスペースやエレベーターホールのあたりをうろうろしていることが二日ほど続いた。
たまたまなのかもしれないけれど、私が降りてきたのを知っても怒ったりがっかりせず嬉しそうなところを見ると、ちょっとホッとしているところもあるんだろうか。 それとも、誰かが降りてくるのを待っていたのか、公園へ行くまでちょっと遊んでみようかなという余裕が出てきているんだろうか。
どちらにしても、お供をすることを許されて今朝は一緒に歩いた。 しかし、私からつないだ手はしっかりと振り払われた。
ひとりで行きたい、でも一緒もちょっと嬉しい、自立と甘えの間で揺れる海渡の心が見えた気がした。
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