昨日、海渡を迎えにいく途中、空を覆いつくすほどのうろこ雲がものすごくきれいで何度も立ち止まっては眺めていた。真っ青な空と無数の白いうろこの波のコントラストが美しい。急に、シャ乱Qの「空を見なよ」が浮かんできた。サビしか知らないんだけど(笑)
学校にたどり着くと校門から子どもたちが続々と流れてきた。海渡が出てくるのを待っていたが、一向に表れない。そのうちに、子どもたちの列がぶっつりと途切れて誰も出てこなくなってしまった。門の中をのぞいてももう誰も出てくる気配がない。
入れ違いになっちゃったのかな?それとも何かあったのかな? 急に不安になって、門を入り海渡の教室の方角へ歩いていくと、海渡と数人の子どもたちと1組の先生が歩いてくるのが見えた。
「何かあったんですか?」
恐る恐る尋ねると、いえそこで海ちゃんが止まっちゃって・・・・と言う。ああ、また何か気に入らなくて石になっちゃったのかなと思ったら・・・
「どうしたの?って海ちゃんに聞いたら、空をじっと見て『くも』って言うんです。ずっと空を見上げて雲を見ていたらしいんです」
私がうろこ雲に感動して見とれていたのと同じように、海渡も空を見上げていたのだった。何だか変なところが似ているなぁと苦笑してしまう。
その後、ついでに最近の海渡の様子を聞くことができた。
特学の担任の先生が大好きな海渡は、職員室にもよく会いに?行く。 ある日、職員室に行ったら先生がいなかったのか、入れなかったのか、ドアの前で座り込んでしょんぼりしていたらしい。通りかかったほかの先生が何度も「どうしたの?」と尋ねたが、何も答えない。そのうちに、特学の先生が現れた。すると、海渡はやっと現れた先生を見るなり、大粒の涙をこぼしたそうだ。 また、あるときは先生を探し回って学校中を歩いていたことがあったらしい。他の先生がそれを知って、特学の先生に伝えてやっと再会?できて嬉しそうだったとか。特学の先生は、そこまで自分を慕ってくれる海渡が可愛くて仕方がないらしい。
話を聞いていたら、ちょっぴり嫉妬を感じてしまった(笑) 親の私にだって、会えたからといって涙こぼして喜んだことはない。
そんなに特学の先生が好きなんだとあらためて知った。 考えてみれば海渡にとってはわけの分からない小学校という世界にたった一人で放り出されたのだ。保育園の時は担任が二人いて、一人は海渡やそのほかの障がいを持つ子どもの面倒をみてくれていた。また、同じ障害をもつ友達もいた。 しかし、小学校では障がいを持つのは海渡ひとり。そのなかで特学の先生は入学してからずっと、一日中ではないにしても、自分と1対1で相手をしてくれている。一方、1年1組の先生は40人の児童の相手に忙しそうだ。甘えたくても、かまってほしくても、次々と子どもたちが先生の周りに集まって、海渡が入り込む余地はなかなか無いだろう。
海渡にしてみれば、特学の先生が唯一の頼りなのかもしれない。 健常の子どもたちに混じって小学校で生活していく、一人だけ障がいを持つ海渡の精神的なよりどころなのかもしれない。先生の存在は海渡のなかではとても大きなものなのだろう。
私と会えて涙はこぼさないけれど、純真無垢な笑顔を見せてくれる海渡。 手をつないで帰る道、空を見上げるとさっきと同じうろこ雲があった。数分前、別々に見ていた空を今度は二人で見上げている。
海渡なりにいろいろあるんだろうな、でも、海渡なりにがんばっているんだよね。うろこ雲を眺めながら、そんなことを考えた。
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