++ 記憶の中へ
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■ 「にいちゃん、ありがとう・・・・」 2003年08月07日(木)
 
 昨日、海渡がアルバムを見たがったので2冊出して一緒に見ていました。1冊は海渡が生まれる3年ほど前のもの。兄が4歳、姉が2歳の頃の写真ばかりです。「これ誰だかわかる?」と海渡に聞いても、当然首をかしげるばかり。当時4歳の兄と今のヒゲも生えつつある180センチの15歳の兄は全くと言っていいほど違う顔立ちになっているので、当然と言えば当然ですが、それなりに面影のある姉も海渡には分からなかったようです。

 兄の写真を見ていて

「あ、これ海ちゃん!」

 と指差して海渡が言います。確かにヘアースタイルも同じで海渡そっくり。
 そういえば、海渡の顔を見ていて時々、長男の面影を見ることがあり、不思議な気分になったりします。

 ダウン症の子供は親きょうだいではなく、赤の他人のダウン症児と似ているとよく言われますが、それはウソです。やっぱり一番似ているのは親やきょうだいたちです。海渡の中に、長女や長男を見るとき、紛れもない血のつながりを感じます。

 もう一冊は海渡が生まれたばかりの頃のもの。当時、兄は小学3年生、姉は幼稚園年長でした。今の海渡よりももう1歳小さかった長女。海渡の誕生を誰よりも喜んでいました。

 赤ちゃんの頃の海渡を「これ海ちゃんだよ」というと、海渡はすかさず

「違う! これは、あ・か・ちゃ・ん!」

と教えてくれます。「赤ちゃんだけど、海ちゃんなんだよ」
そういっても、海渡は納得せず「違うの!」と言い張ります(笑)

 たった7年の間に、小さかった長女は163センチとなり真っ黒になってテニスの部活に明け暮れています。今の海渡そっくりだった長男は、180センチとなり、声変わりもしておとうさんからお下がりのシェーバーをもらいました。海渡にかかりきりだったこの7年のあいだに長男と長女はすっかり大きくなってしまい、その変わりように今更ながらに驚いてしまいます。それなりに長男とも長女ともかかわってきたつもりなのに、なんか、大事なものを見落としてしまったような、忘れ物してきたような気分になるのはなぜでしょう。

 15歳にして身長180センチの大男になった長男、昨日は私が買い物に行っている間、海渡の面倒を頼んだのですが、玄関から脱走しかけた海渡を抱きかかえて家に戻ったり、ベランダでおもらしをしてしまった海渡に、パンツとズボンを脱がせて新しいものに履き替えさせてあげたりしたそうです。

「海ちゃん、兄ちゃんにありがとうって言った?」

海渡は、申し訳なさそうに兄に向かって言いました。

「にいちゃん、ありがとう・・・・」

「いいよ」

まじめに弟にお礼を言われて照れくさかったのか、雑誌を見ながら長男が素っ気無く答えました。

兄の思いと弟の思いが暖かく感じられた日でした。

 



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