++ 記憶の中へ
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■ おっきい門とちっちゃい門 2003年05月08日(木)

 海渡の小学校の正門は車専用に鉄の柵を大きく広げた門と、子どもたちの登下校用に小さく開いた小さな門があります。

 海渡が就学する前、小学生だったお姉ちゃんの行事で小学校へ来るときや選挙の投票で来るときは、車のときも歩きのときもこの大きな門から出入りしていました。

 でも、入学したら学校のルールに従って海渡は小さな門から出入りしなければいけません。海渡にはこれがなかなか理解できませんでした。
 障害があっても守らなければならないルールはやっぱり守らなければいけません。

 下校のとき、海渡は大きな門から出ようとして、お友達が教えてくれたり、止めてくれるということが何度かあったそうです。そのときにたまたまバランスを崩して転んでしまうことがあり、膝小僧を擦りむいて血がにじんでいることもありました。ある日、とうとう転んだまま動かなくなって、先生方に迷惑をかけてしまいました。

 私は家に戻ってから、海渡と向かい合い、真剣な表情で大きな声とジェスチャーで

「おお〜きな門は、ブッブーって車が通る門、
海ちゃんやお友達は、ちっちゃ〜な門をこうやって歩くの。
おおっきい門だと車にバンって当たっちゃってものすごく痛いの。
だから、海ちゃんは、ちっちゃ〜い門から出ようね。わかった?」

 いつにもなく、真剣な母に驚いたのか、海渡は神妙な顔で「うん」とうなづきました。

 翌日、学校へ迎えに行く途中、ニコニコと歩いてくる海渡に聞きました。

 「海ちゃん、大きい門と小さい門とどっちから出たの?」

すると、海渡は笑顔でさらっと言いました。

「ちっちゃい」

 おおお! やった!
 それ以来、海渡は門のことを聞くと「ちっちゃい」と答えてくれ、実際に私が迎えに行って、門を出るときも小さいほうの門へ行くようになりました。

 普通の子どもなら一度聞けば理解できて毎回同じ行動ができることも、海渡にはそうできないことが、これからもたくさんあると思います。でも、ひとつひとつ丁寧に教えていけば、必ずわかってくれます。毎日の積み重ねと子どもと真剣に向き合うこと・・・なかなか忙しい日常ではできないことですが、やっぱりそれしかないんですよね。



 




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