海渡はいまだボタンをかけたり、はずしたりが出来ない。 出来ないというより、やろうともしないというほうが正しい。 「やってごらん」 と促すのだが、ほんの少しやりかけて 「できな〜い」 といつも甘えてくるのだ。
昨日の連絡帳に、ゆうちゃんが自分で制服を脱いで、遊び着に着替えて外へ行こうとして、それを見た海渡がゆうちゃんに自分のボタンはずしをやってもらおうとしたと書いてあった。 ゆうちゃんも海渡と同じダウン症である。ゆうちゃんにはすぐ下に弟がいるので、何でも弟と競って覚えていくのだろう。それに引き換え、海渡は回りはかなり年の離れた兄姉と両親である。忙しい私も「まりか、海渡の制服脱がせやって」と頼んだり、朝も制服を着るのを嫌がるとさっさと着せてしまったりする。 ボタンかけやボタンはずしが出来るようにと目標を持っていても、ついつい手を出してしまう自分を見つけて、ちょっと落ち込んでいる。
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