++ 記憶の中へ
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■ 絵本 1999年07月04日(日)
 海渡は絵本が大好き。特に動物が好きで絵本を見ながら、はっきりしない発音で「ライオン、キリン、ペンギン、トラ、ラクダ、シマウマ、ゾウ、クマ、ウサギ、タヌキ、」等を言う。言葉の遅れがあった兄の龍平は3歳当時は魚が大好きで「マンボウ、イカ、タコ、カニ、サメ、クジラ」などを回らぬ舌で言っていたっけ。

 その龍平が大好きだった「3さいの絵本」という分厚い本、ぼろぼろになりあちこちセロテープで補修しながら、9年(!!)経って今度はダウン症の弟海渡がページをめくっている。開くページは兄の好きだった魚じゃなくって、動物のページばかりなのがとても面白い。龍平の言葉の遅れが分かってきたのも今の海渡と同じ3歳前後だったので、この頃よく9年前の悩んで悩んで落ち込んでいた育児の日々を思い出す。龍平が何か単語を言うたびにそれをノートに書き留めていたっけ。3歳で単語しか出ないのも気がかりだったが、何より受け答えにならないことのほうが心配だった。問いかけに頷いたり、首を振ったりしてくれず、こちらからの一方通行のような会話。ただただ、その笑顔と時折見せてくれる優しさが私への返事だったような気がする。「言葉なんかなくったっていいよね」と思ったものだった。そのお兄ちゃん、今は6年生となりお散歩に出て「海渡くん、これは花だよ、は・な」と教えてくれたりしている。時々夕食をみては「カレーは給食で出たのに・・・」とかうるさいけれど(笑)



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