| 2009年01月21日(水) |
『山谷ーやられたらやりかえせ』 |
今夜、名駅「シネマスコーレ」で公開中のドキュメンタリー映画『山谷(やま)─やられたらやりかえせ』(佐藤満夫・山岡強一共同監督。1985年発表)を観てきた。 日雇い労働者達の過酷な労働と生活で知られる東京都の下町・山谷を舞台にした作品で、彼らの生活の実態や闘争が描かれている。1984年、山谷の闘争にも携わっていた佐藤満夫氏により撮影が開始された。しかし労働者たちの生活に暴力団が介在していることを描いたことから地元のヤクザに狙われるようになり、佐藤氏は暴力団・日本国粋会(後の六代目山口組國粹会。日本国粋会は暴力団であり、右翼団体でもあった)系金町一家西戸組の組員により刺殺された。撮影は中断を余儀なくされるが、佐藤氏が遺したフィルムを元に有志により制作上映委員会が発足した。委員会により映画制作は、実際に山谷の労働者で全国日雇労働組合協議会(略称は日雇全協)の創設メンバー山岡強一氏に託され、翌1985年より制作が再開された。佐藤氏の腹案にあった釜ヶ崎に加えて笹島(名古屋市中村区)、寿町(横浜)、筑豊など他地域での撮影も行われ、同年11月ごろには完成し12月には初上映が行われた。 しかし明けて1986年1月13日、今度は山岡氏が暴力団日本国粋会系金町一家金竜組の組員に射殺された。 制作過程において2人の犠牲者を出した作品だが、労務者の生活の実態に迫った他に類を見ない映画として、現在も全国各地で有志の手によって自主上映会が開かれている。映画のなかで描かれていた労務者たちの過酷な現実は、「派遣切り」など昨今の労働者の置かれた厳しい状況とも、問題の根は一緒である。人間扱いされず使い捨てにされているという点において、全く変わりないのだから。20年以上も前の作品であるにもかかわらず、リアリティーをもって迫ってくるのが何とも不思議というか皮肉というか。 人権は当たり前のように与えられるものではなく、常に権力と闘う姿勢を持って獲得していくものなのかもしれない。そんなふうにも思った。いろんなことを考えさせられる作品であった。
ちなみに、映画のなかで音楽を担当しているのが、大熊亘氏(現在「ソウルフラワー・モノノケサミット」のクラリネット担当であり、「シカラムータ」のリーダーでもある)であることを、はじめて知った。大熊氏のクラリネットに憧れてクラリネットを衝動買いしてしまった私にとっては、ちょっとした驚きでもありつつ、一方で「なるほど」とうなずけることでもあった。
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