夏撃波[暗黒武闘戦線・歌劇派]の独白

2004年10月16日(土) 水俣病関西訴訟

  熊本、鹿児島両県から関西に移り住んだ水俣
 病の未認定患者30人と死亡患者15人の遺族
 が、国と熊本県に損害賠償を求めた「関西水俣
 病訴訟」の上告審で、最高裁第二小法廷(北川
 弘治裁判長)は15日、「国と県が被害の拡大
 を防がなかったのは著しく合理性を欠き違法」
 として、国と県に賠償を命じた大阪高裁判決を
 支持する判決を言い渡した。 
  (2004年10月16日付「中日新聞」朝刊より)

 「水俣病公式発見」から半世紀。「国、熊本県に責任を認める」判決が出され、「画期的な判決」とも言われているようだが、ここに来るまでに費やされた時間の長さを思わずにいられない。一部には訴えを退けられてガッカリしている方もいて、すべてにおいて満足のいく判決とは言い難いようだ。
 確か3年ほど前、「ハンセン病国家賠償訴訟」で熊本地裁から「国家責任を認め、賠償を命ずる」判決が出された。世論の後押しもあり、国は控訴を断念した。
ほぼ同時期に「関西水俣病訴訟」控訴審で「国と県に賠償を命ずる」判決があったのにもかかわらず、国側は上告し、原告側を随分とガッカリさせた。一方の「ハンセン病国家賠償訴訟」では控訴断念、他方の「関西水俣病訴訟」では上告、という何とも整合性のない対応に、小泉政権の正体を見、その薄っぺらさを見抜けない国民の認識の甘さに思わずため息をついた覚えがある。
 今回、最高裁が3年前の大阪高裁判決を支持し、国もその判決を受け入れざるを得なくなったわけだが、この期に及んでもなお環境省は「個別の損害賠償に対する判決と認定制度は別」として「患者認定は見直さない」考えを示している。それに対し、患者・遺族の側は「反省は口先だけ」と怒りを露わにしている。
 水俣病は健康被害をもたらしたばかりではなく、患者や家族からあらゆるものを奪っていった。身体の自由が奪われたがために、生活の糧を得る手段を奪われ、また治療などのために経済的かつ精神的な負担を強いられることになる。そして、地域共同体のなかで差別が生み出され、人々の絆は断ち切られ、そのことがいっそう患者・家族の苦しみを強めていった。そうした苦難の歴史、人間としての誇りを踏みにじられてきた患者・家族の思いを国側は少しでも想像してみる必要があるだろう。
 今回、一応は「原告勝訴」の最高裁判決が出た。とは言っても、患者・家族はこれからも日々闘っていかなければならず、そして奪われた時間は戻ってこない。私とてどこまで行っても「第三者」に違いないが、「水俣病」の「歴史」を心の片隅に置きながら、自らの歩むべき道を誤らないようにしていきたいと思う。


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夏撃波 [MAIL]