バカ恋
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■ 散リユク夕ベ ■


別れた男と逢うと云う事は、

傍から見れば可笑しな事なのだろう。

されど、

一度は激しく愛した人。

そう簡単に心は元に戻らない。




譬え酷く傷付いたとしても、

譬え無様に裏切られたとしても、

アタシの気持ちには嘘は付けない。




只壱つ、

変化したのは、ポジション。

アタシはかつて、

彼の支えとして生きる事を望み、

其れがアタシの支えでも在った。

今は恐らく違うのだろう。

アタシは次の升目へ進む為のサイコロを振った。

留まった水は何時しか淀み、腐り果てて行く運命。

自分の身体から漂う腐乱臭をアタシは許さない。




コージからのメエルも、

コージからの電話も、

相変わらず続いて居る。

されど待つ事は無い。

もう二度と、待つ事は無い。

互いに近況報告と称する御遊びをするのが楽しい。

其の程度で十分。

未だアタシの細胞はコージの声に反応し、

アドレナリンを放出させる。

此れが愛なのか否か、定かでは無い。

今更答えを探す行為をするつもりも無い。




アタシは確信して居る。

此の唇は、もう二度と、もう二度と、

彼に向けて愛を語らない。




かつてR嬢は言った。

「乗り越えた山の先に辿り付いた友情が在る」と。

アタシは乗り越えたのだろうか。

果たして此れは友情なのだろうか。

ワカラナイワカラナイ。




淋しいと思えばまた思い出す、

楽しかった過去の現実。

笑い合っていたあの日のフタリ。

交わした約束。

決して忘れる事は無いわ。

だって此れほど愛したアナタだから。




愛し合った日々を無駄だと思える程、

アタシは自分をキライには成らない。




あたしのケータイに登録してある








こう云う行為の壱つ壱つを人は、

「清算」と呼ぶのだろう。




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