バカ恋
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■ アタシは女優 ■


コージから呼び出されて、彼に会ってきた。

何時ものように、コージが迎えにきて、

一緒に夕飯を食べて、他愛の無い話をして・・・




また大事な話は帰りの車の中って事ですか





思ったとおり、コージはあたしんちの近くの駐車場に車を停め、

話を始めた。





お前と会ってなかった間、俺は、

お前の事を考える事も無く、とても楽だった。

自分なりに色んな事をして楽しんでた。

そして、気になる人を見つけた。

其の人の事をもっとよく知りたいと思う、もっと会いたいと思う。

だから、そんな気持ちでいる以上、お前とは会えない







コージは言葉を選びながら、かみ締めるようにゆっくりと話した。





なるほどね、そう云う訳ね。




云いたい事は山ほどあって、

色んな思いが頭に浮かんでは消えて、浮かんでは消えて・・・

暫くの沈黙の後、あたしはコージに





うちにあるコージの荷物どおする?





と、普通に聞いた。

其の言葉を聞いたコージは突然、堰を切ったように泣き出した。

泣いてるコージを見て、あたしはとても驚いたし、

トホホと困り果てていた。

泣きながらコージは、





何か言ってよ





と云うので、よくわかんねえな・・・と思いつつ、

又してもあたしの脳ミソは、色んな言葉を探して、

更に長い沈黙の後、あたしは









と、ヘラヘラ笑いながら言った。

其の言葉を聞いて、またまたコージは泣き出してしまった。





笑ってるあたしと泣いてるコージ。

こう云うシチュエイションの場合、どう考えても泣くのは女だろう・・・




参ったなぁ〜とあたしは思ってた。

を?女に泣かれた男の心情ってこんな感じか?

なんて事を考えてたりした。







お前はいい女過ぎるんだよ。

だから俺は、お前と一緒に居ると、

自分の弱さばかりが目立ってしまって、どうしようもなくなる。







何を言われようが、今更どーしよーもないし、

はっきり言って、もう、どうでも良かったんすよ。

めんどくせーって言うか、もう解放してくれよって感じだったんすよ。

だから、泣いてるコージを見て、何だか可愛そうになっちゃったし、

彼に好きな人が出来たと聞いても、

「あ、そーですか」程度にしか思えなかったし、

あたし自身もコージに対する思いが薄れてたし。

此れって強がりなのか?と思いつつも、

ほんとにめんどくせーんだよ。







じゃあね。今まで有難う、すごく楽しかったよ。

身体に気をつけてね。元気でね。






と、あたしは最後まで明るく振舞った。

あたしは最後までうろたえる事無く、常に冷静だった。

あたしは実に見事に強い女を突き通した。




まさにザ・女優魂!



よくがんばったと誉めてください。

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