バカ恋
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■ すべてはこの夜に ■


コージと初めての旅行。

とは云っても、熱海の温泉へ一泊旅行だけど。




でも、すごく嬉しくて、前の日は眠れなくて、

何着て行こうかとか、散々悩んだりして、

お弁当を持っていこうと思い立って、

夜中、コンビニへ材料の買出しに行ってみたりして、

更に早起きし過ぎて寝不足だったりして。




コージも楽しみにしててくれた。

トン吉も一緒に誘ってくれた。

手を繋いで花火を見たかった。

風呂上りに、夜景を見ながら、並んで涼みたかった。

でも、コージはあたしを避けるかのように、

単独行動を取るばかり・・・

しかも、雨降りで・・・




やっぱりあたしは愛情表現がヘタクソで、

言葉足らずで、不器用で、

あたしの真意がコージに伝わらない。





俺はお前の何なの?




云わなくても伝わる気持ちってあると信じていたし、

あたしの愛はまっすぐに何時もコージへと向っている。

でも、コージには上手に伝わりきれてないようで、

少し反省してみましたのです。





あんまり楽しそうじゃないし、

嬉しそうじゃないし、だから俺も楽しくないよ。

お前は言葉が足り無すぎる。そう云うの判っていたけど、

これ以上カバーしきれない・・・






コージと一緒なら何処だって楽しい。

コージが傍にいるのなら、何をしてても楽しい。

場所やイヴェントは関係なく、本心からそう思っている。

今回コージはあたしの為に旅行をセッティングしてくれた。

其れだけでも感謝してるし、本当にありがたく思ってる。





でも、何故か空回り。

素直な気持ちを表現できない自分の性格を恨みます。





何故素直に気持ちを伝えられないのか・・・

言葉にすると途端に安っぽくなってしまうような気もするし、

嘘っぽくなってしまうような気もしてしまうのです。

どうしてこんな風に臍曲がりになっちゃったのでしょう。





その夜、

三人分の布団が綺麗に並んだ部屋で、

コージの手を握りしめ、何度も何度もあたしは云ったのです。









ありがとう愛してる












此れがあたしの精一杯の気持ち。

どうぞ、あたしの気持ちが伝わりますように。










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