バカ恋 | back index next |
■ 万歳三唱 ■ 第二外科外来にて九時半に受付を済ませた。 待合室は何時もよりも混んでいた。 明日が手術日と云う事も関係しているのだろうか。 周りはお年寄りが多く、たまにあたしより若そうな人もいたりして、 この人たち、皆乳癌なのかな 等と考えたり、妙な仲間意識を持ってみたり。 壱時間半程過ぎ、座りながら眠気を感じていたら名前が呼ばれた。 診察室手前の中待合でお待ちください 中待合には品の良さそうなオバさんと、目の悪いオバアさんが待っていた。 暫くすると、目の悪いオバアさんが家族に付き添われて診察室へ入っていった。 中から医者の声が聞こえてくる。 検査の結果、あまり良くないですねぇ〜、 此れから直ぐに入院して貰います。ご家族の方も宜しいですね。 不安が一気に押し寄せる。 隣に座っていた品のいいオバサンが話し掛けてくる。 今日はずいぶん混んでいるとか、明日は内科に診察に来なきゃいけないとか、 自分は乳癌で半年前に手術して全摘出したとか・・・ 未だに右腕が上がらないのよ オバサンは何度も右腕を上げる仕草をして見せた。 術後はリハビリも兼ねて二週間に一度、診察を受けているという。 其のうち、オバサンが看護婦さんに呼ばれ、診察室に入っていった。 五分程診察を受け、看護婦さんに連れられて処置室へと消えた。 行きがけ、あたしは軽く会釈した。 次にあたしの名前が呼ばれ、看護婦さんに促されて診察室へ入る。 医者は先日撮影したレントゲンを見ていた。 あれ?今日は一人で来たんですか? ええ、一人ですが・・・親も連れてきたほうが良かったんでしょうか いえ、検査結果を聞きにいらっしゃる方の殆どは、 ご家族の方がご一緒されているものですから・・・ははは 心臓がギクリと音を立てた。 もしも・・・まさか・・・でも・・・ そんな言葉がグルグル頭を駆け巡る。 もしも結果が悪性だったら、今日中に入院という事にもなるのだろうか・・・ しこりは触ってみましたか? 場所がよくわからないんです 随分小さなしこりですからねぇ 先日の細胞診の結果なのですが・・・・・採取した異形細胞は、良性でした。 心配ありません。 良性!?( ̄▽ ̄)3 ほんと?ほんとに?良性だったの? 嬉しかった、心底嬉しかった。 力が抜けて、椅子から転げ落ちそうになったけど、膝に必死に力を入れた。 子供産んでも大丈夫なんですね? 妊娠してもいいんですね? 医者が頷くのを確認しながら、何度も何度も聞いた。 まあ、しこりの八割程度は良性ですから。 触診では判断できない部分もあるので、細胞診を行うんです。 そんな話聞いてねえぞ、オイコラ 滅茶苦茶心配しちゃったじゃねえかよ。 でも、許す!許しちゃう。 だって、何でもなかったんだもん。 医者に抱きついてぶっちゅしたい気分。 立ち上がって、歌でも歌いだしたい気分。 有難う有難う。世界中の人有難う。 最高潮にハッピーです。 良かった、ほんと。まぢで。 心配してくれたみなさん、有難う、あたしは元気です。 |
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