カタルシス
DiaryINDEXpastwill


2006年10月21日(土)  家族八景 

午前中から作業再開 上巻分の戻し待ちをしながら下巻の作業にとりかかる 全体の文末にCDの取扱いに関する文章を打ち込んで レイアウトを調整 昼過ぎには一段落したので これも先方へ送信して一息入れることにした

今日明日で妹の学校が文化祭を催している 彼女は今朝普通の時間に登校して行った 出店の係が15時までで 終わったら自由に帰って良いそうなので 母と2人14時頃着くように行って出店やフリマをひやかしてから 妹をピック後作品展示の見学をしよう と算段をつけていた 予定していた作業時間が少し押してしまったので 実際に学校へ到着したのは14時半くらいだったが まま予定通りの動きをすることができた

デザインや工作の展示を見るのはやっぱり楽しい プロとは違う学生特有の粗さや甘さや生産性を無視した突飛な作品ばかりが並んでいる でも それが面白いと思う部分なんだな プロの作品を見るときは仕事の美しさやプロットの手堅さに感心するものだが 学生のうちにしか作れない冒険のような制作物を見るのに 損得勘定なんぞしていては始まらない 辛口なツッコミは入れつつも内心かなり面白がっている 制作系の学園祭はそこが楽しいんだ

見ていてふと 母校の学園祭の日取りを気にしてみた まだであれば 見に行ってみようかな…

作品展示を見学の途中 妹のクラスの教室を横切り隣接した実習室で 先ほどまで行っていたらしき「手作り飛行機」なる企画の後片づけをしている壮年男性の姿があった この部屋にいるのだし風貌からもこの学校の先生であることは容易に想像ができた きっと妹は何らかの授業でお世話になっているだろう 「先生?」と妹に尋ねようとしたら横にいた母の方が声高らかに「あらコンニチハ先生!」と挨拶をした その様子からも彼らが顔見知りであることがわかった

実は母は夏頃からここで開かれている「漆の教室」に通っているのだ 今我々の前で軽く笑みを浮かべて挨拶を返しているこの人こそが 母に漆細工の手ほどきをしてくださっている先生様というわけだ 当然妹は通常の授業でお世話になっているので 初対面は私一人

「いつも娘ともどもお世話になってます〜 あ これも娘です」
と紹介され 若干苦笑いでご挨拶
「娘さんがお2人とはいいですねー」
穏やかそうな雰囲気の紳士然とした人物で 一言二言交わしただけで“好き系”の人だと判断 妹が話す先生たちの様子でも 彼に対する否定的な意見は聞いていなかったこともあり その場では好感が持てた 当たり障りのない挨拶をして 展示の見学に戻る

学園内をぐるりと一回りしてから3人で帰ることにする

出店で何か食べるつもりだったので 午前中は作業に没頭していたこともあり大したものを口にしていなかった私だったが 母と一緒にいると やれ高いだの家で作ったらもっと美味しいだのと言い出して「でも食べたいなら買えば?」的な態度でいるので 正直何かを買って食べ歩くような雰囲気ではなく… 結果4時半を回るまでろくな物を食べていない状態に追いやられていた
まー そんな極端にお腹が減っていたわけでもないので 無理矢理食べることもないと思い歩き回っていたのだが さすがに夕方にもなれば腹の虫が騒ぎ出すというもの 妹は妹で出店でホットケーキを作っていたにも関わらず 作るばかりで自分では少しも食べることがなかったのだそう 母とて昼を控えてこの学祭に来ているのだから それなりにお腹は減っているはずだ
「何か食べて帰ろうよ」という私の提案に反対する者はなかった というか2人とも帰りに何を食べるか楽しみにしていた風だったので 私の提案などなくともどこぞへか寄っていたんだろう まぁ結果オーライだな

妹のリクエストで食べるものが寿司に決定 私がいるので自動的に回転寿司を目指すことになった(←刺身&ワサビ苦手) 行きつけ?の店に行くはずが途中で違う道に入ってしまい途端に3人揃って「「「あ!」」」っと声を上げた これはいつも自宅へ帰るときに曲がる角だ
「あらら〜ゴメンゴメン いつものクセで曲がっちゃった!」と母 少し先で道を変えて元のルートに戻るとそのまま店へ向かった

5時ちょっと前 食事時に行くといつも順番を待つ店だが さすがにこんな半端な時間には混雑しておらず すんなりテーブルへ通された 4本あるレーンは1本が使われておらず 我々が通されたレーンも1本丸々ではなく半ばくらいで折り返すようにコンベアを弁で間仕切り 回転する部分を短く起動させていた 「へえ〜あんな風にも回せるんだ」初めて見る光景にちょっと感心

勝手知ったる何とやらで 回っていないネタをインタホンで注文 どんどん注文 私はサビ抜きを注文 ひたすら注文 そのうち回る皿の密度が増してきたな?と思ったら いつの間にかレーンは全面開放され 我々が席を立つ頃には使われていなかったレーンにも客が通され始めた 時間は18時を過ぎた頃 かっこうの“夕飯時”というわけだ

今日の流れからすれば今の食事は我々にとって“遅いランチ”であったのだが もうこのあと夕飯を食べることもないだろうと思い 満腹になるまでしっかりガッツリ食べてきたので 本家へは寄らず自宅へ送ってもらうことになった 駐車場から車に乗り込む我々

寿司屋から自宅までは1本道 途中で街道を左に反れて小道に入るが それは最後の十数メートルにしかならない 本家はその少し手前で右折する 我々を乗せた車はその1本道を快適に走行し そのうち右隣へと斜線変更をした

…あれ?

と思う間に対向車の切れ目を見計らって右折
車は本家の前にある駐車場を目指していた

「…おかん」
「あ!またやっちゃった!!」

見事なまでの帰巣本能というべきなのか それとも記憶能力や注意力の老… ゴホリ-3
いずれにせよ 1日のうちに2度 それも数時間の間に似たようなミス?をしていることに 少なからず不安を感じた

自宅に送られなかったこと自体は大したことじゃない 歩いて数分の近さなのだから足を使えば済むことだ が 気になったのはどちらも母が自分で提案した行動予定であったことと 気づくまでに間があったこと 些細なことではあるが 毎日四六時中一緒にいるわけではない我々にとって 目に見える父母の“衰え”は焦燥を煽るものなのだ

人間年を取れば全ての部分において衰えはやってくる それは頭では充分理解していることだが 実際に目の当たりにしたときに現実を認識するのは その“頭”とは違う器官だ
幼い頃から見上げてきた存在 我が身を守ってくれていた存在が その立場を逆転しようとしている 元気で健康で若々しかった姿は年月を経て影を背負い皺を刻み それでも尚私の目の前で気丈に立っている
いずれ必ずやってくる“その日”を想像すると 涙が出そうだ

両親の住む目と鼻の先での暮らしを「いざというときに頼れる距離」と甘く考えていた我々だったが「いざというときに駆けつけられる距離」に認識が変わり始めている “離れることの不安”が別の意味を持つようになってきた

姉妹間ではそんな話をすることがあるものの 本人たちに言うことはなく 一番近くにいて頼りにしたいはずの人間が 一番遠い場所で安穏と余所を向いている

窓の外の風景に見とれるのも結構だが 自分の家の火事に気づかず焼け死ぬことのないように

たまには家ん中を振り返れ馬鹿野郎












帰宅したら大量のFAXが届いていた 昼までに送った冊子の戻しだ
途中で詰まっているようだったので たまった用紙を取り除きリスタンバイさせてから 先方に連絡してつづきを送ってもらうようお願いした 取り敢えず届いている分から修正開始 その作業中に残りのFAXと 切り絵作家の画像スキャンがメールで届いた

16ページある中の2〜15ページはモノクロ1色で文字のみの構成 1・16ページは俗に言う表紙・裏表紙なのでフルカラーで写真が入る 表紙は切り絵作家の作品がメインなので私がするのはその絵の配置程度 裏はその絵の雰囲気に合わせた配色の中で演奏者の写真とプロフィールをレイアウトする

文字ページの修正と表紙・裏表紙 それからケースの裏面(背表紙含む)になる「トレイ」のレイアウトをして まとめて先方に送信したのが日付変更の数分前だった

21時から『踊る〜』のスピンオフ第2弾『容疑者 室井慎次』があったので それが見られるようだったらいいなぁと思っていたが 全然無理だった… 自動的に来週放映される『容疑者〜』のスピンオフ『弁護士 灰島秀樹』は元ストーリーを知らずに見ても面白くないと判断し スルー決定
録画しても多分見ないと思うし わざわざDVD借りて来てまで気になる作品でもないので(ヒドイ)再びTV放映されるか 友人からDVDが借りられるようなことがあれば 見てみてもいいかな と自己完結

作業中からメッセンジャを繋げていたら 終わった頃に話しかけられ タラタラつづけてしまうこと数時間 翌日休みなのをいいことにまたぞろ6時過ぎまで話し込んでしまった 今回はちょっとヘビィなこととかも聞いてしまって 少なからず考えてしまう部分があり ちょっとナーバスになった
起き続けてヒーローを見ても良かったが 午後人と会う約束があったし 夜は久々バンドのライブが控えていたので 大人しく休んでおこうと判断 ライブから帰ったらまた戻しが来ているだろうしね…(苦笑) ビデオ録画の予約を入れてから就寝
 

『家族八景』1986年/日本

 


DiaryINDEXpastwill
kore |MAIL