神咲日和

2003年03月28日(金) 苦労自慢大会。

 いや、自慢っていうか。何ていうの?
 労え。
 (嘘です。「へー、ふーん」程度で流して下さい。)

 下の日記から一週間以上過ぎています。
 ひきこもり大好きな私にしてはめずらしく、一週間総合して、外出してる時間より家にいた時間の方が短かったです。

 振り返ってみて、スケジュールが結構ありえなかったので記してみようかと。

 3月24日(月)
 AM09:30〜搬送倉庫にてバイト
 前にも書きましたが、搬送倉庫のバイトというのは、雑貨(帽子、鞄など)がまとめて工場から送られてきて、それを仕分けて各店舗に送るのがお仕事です。
 今回の仕事は、帽子の検品(商品に不良がないか調べるお仕事)6000個。
 4人で6000個。
 そうそう見れるもんじゃないですよ、6000個の帽子なんて。なんてったって6000人の頭にこれが被せられるんですから。
 汚れを見て、針が刺さってないかを調べます。んでほつれた糸があればちょん切ります。
 ここの商品、(多分)全ての商品が中国製なのですが、最低一割が不良品です。
 中国って、なんてミラクルな国!!(偏見)
 なので細かい不良には目を瞑ります。最初は「オイオイ、これ店頭に並ぶんだろう?んな適当で良いのかよ」と思いましたが、そんな細かい不良気にしてたら商品がまったく出荷できないという事実に気がつくのにそうそう時間はかかりませんでした。
 ここの従業員さんの口癖は「これだから中国人は」です。いやマジで。
 まっとうな中国人の方には申し訳ないのですが、それでもそう言いたくなるくらいの不良品の多さなんです。
 で、帽子の検品。
 午後三時から、来月から始まる正規契約バイトのオリエンテーションがあるので、2時半から一時間半ほど抜けさせてもらいました。
 ちなみに搬送倉庫のバイトは、お昼休憩一時間と、3時にお茶休憩が15分ほど入ります。私が抜けた時間にばっちりお茶休憩です。搬送倉庫から正規のバイト先(ファミレスなのですが)まで、家に帰らずに直に行ったため、オリエンテーションはほぼ座りっぱなしだったとはいえ、私お昼以外休憩なしですよ。
 帽子の検品とか、不良エナメルバックの修復(普通に店頭に並ぶ品ですがボンドで修復してました)とか延々してたら、仕事あがったのが次の日のAM01:30でした。
 当初、「月曜日あいてる?お仕事しない?」というお誘いだったはずが、何か月〜木まで4日間働くことになりました。
 まぁ、「大変なのは木曜日だけだから」と聞いていたので、私は大層事態を楽観視していました。

 3月25日(火)
 AM09:30〜搬送倉庫にてバイト
 例え前日にあがったのが本日だとしても(解り難い表現だ)、仕事はきっちりやってくる。
 この日のお仕事も検品。
 本日の品はビーズバック。ビーズがすごくほつれやすいビーズバック。ほつれたビーズを直さなくちゃいけないビーズバック(嫌な思い出があるらしい)。
 確か、途中で別の仕事に回された気がするのですが既に記憶の彼方です。
 ごめんね、私のシナプス切れ易いの。
 正規従業員がなんで臨時バイトの私より先に帰るんだろうという疑問を抱きつつ、仕事が終わったのはPM11:30。でも今回は日付変わる前におうちに帰れたよ!やた!
 っていうか、遊戯王が見れなかったよ…。うちのテレビ映り悪いからビデオ録画できないんだよ。ペガサス出たかなぁ?それだけが気がかりです。

 3月26日(水)
 AM09:30〜搬送倉庫にてバイト
 やっぱりビーズバックの検品です。でも、先日とは違う型の物です。
 ビーズバックとはその名の通り、ビーズが花とか蝶の柄に縫い付けられているバックです。
 バックを製作している工場では、どうやらバックの布の上にビーズを縫い付ける柄のカタチに穴をあけた紙を置き、その上から何かの粉をかけ、粉で描かれた模様に沿ってビーズを縫い付ける、という方法を取っているようです。
 で、最後に粉をはたけば完成、という。
 どうしてその方法が解るか、といいますとね。はたかれてないんですよ、粉が。
 あぁこれだから中国人って!!(偏見)
 ビーズと布の間に白い粉が詰まってるわけです。それを見て「あぁこういう方法なのかなぁ」と憶測するわけです。まぁ憶測の域を出ませんが。
 問題はそこじゃないんですよ。ビーズバックの作り方なんて知ったってしょうもないわけですよ。大事なのは、白い粉がついてる=汚れ=不良=出荷できないという点なわけで。
 えぇはたきましたとも、一個一個。
 鞄をあけて、中の不良がないか確認して、ビーズ、糸のほつれの確認して粉をはたいて。
 めんどくさぁ。(心の底から本音)
 で、この工場の製品から昔、針が出てきたらしいんですよ。それ以来、検品を2回することが義務付けられてるらしいんですよ。その上、出荷するにあたって値札もこちらでつけなきゃいけないのですよ。
 それが1000個近く。
 鞄の種類は10種類くらい。
 あわせて一万個。
 従業員、バイト合わせて20人にも満たない。
 ってか無理。
 鞄をバタバタはたきながら、一緒にお仕事していたパートの方と「ってか無理ですよねー」「そうですねー、それにしても粉すごいですねー」「小麦粉だったらなんとなく嫌ですねー」「ってかグラムうん万円の魔法の粉だったらどうしましょうねー、検品してるだけでトリップですよー」「そしたらカバンごと一個うん万で売れますかねー」「そうですねー」「あはははー」「うふふふー」とか微笑ましく話してたら、どなたかが発見。値札に書いてある「2Wバック」の文字。
 2Wです。2wayの略です。笑うワンタンの略とかそういうオチでなくて。
 つまり、使い方が二通りあるということで。
 そのバックは、小型のガマ口で、金具で出来た取っ手の付いている手提げタイプの物でした。
 確かに中に、用途不明の金具があります。
 従業員さんいわく、本来そこにチェーンがかけてあって、肩掛けにもできるようになっているデザインなんだそうです。
 だれが使うんだそんなカバン。
 きっと、そこにいる全員が同じことを考えたでしょう。
 ってかチェーンがついてもつかなくても、妙齢の頃をうん十年前に過ごしたエセゴージャスなマダムくらいしか持つことの出来ないような客層を極端に絞ったようなデザインだったのですが。
 で。
 出て来ました。あっさりと。チェーンが。
 チェーンについてるフックを、カバンの金具に引っ掛けるわけですよ。
 そう、チェーンについてるフックを。
 チェーンについてるはずのフック、を。
 いえ、ね。別にフックがなかったとかいうオチじゃないですよ?
 ただね。
 チェーンとフック別々に送ってきやがったよ中国人。
 こっちでチェーンにフックつけて、さらにカバンにつけろと?イイ度胸だ。
 ちなみにチェーンにフックをつける方法というのは、まず太さ7ミリ程度のチェーンの先に、直径1センチ程度の細い針金で出来た輪っかがついています。その輪っか、針金が二重になっていて、その二重になってる針金の間に、親指なり人差し指なりの爪を割り込ませてフックを引っ掛けるわけですよ。
 この作業、爪が傷むのは無論のこと、刺さるんですよ、針金が。爪と肉の間に。
 痛いです。ものすごく。地味に流血沙汰です。本気で泣くかと思いました。
 カバンの検品とか直しとかもしましたが、ほぼ一日中チェーンにフックをつけていた気がします。
 ここの搬送倉庫、狭くはないのですが物が沢山あります。えぇ沢山。
 よって、スペースの問題のため大抵の作業は外で行われます。野外で内職です。
 夏は暑く、冬は本気でシャレにならにくらい死ぬほど寒いです。
 今回はそんなに気温は問題にならなかったのですが。
 ですが。
 一万個ですよ、ノルマが。あたりまえのように、作業は夜中まで続くわけです。
 でも外なわけです。
 屋根なんてないわけですよ。外灯だってないんですよ。光源はそこにある自動販売機と、倉庫の窓からもれる明かりのみ。
 そんな薄暗い中で、立ちっぱなしで延々とチェーンにフックをつけるわけです。「気温は問題にならなかった」とは言いましたが、さすがに10時を過ぎると寒くなってくるわけで、手先だって冷たくなります。何か手がガタガタふるえてます薬で抑えてるものの、生理二日目特有の鈍痛が下腹部を抉ります。相変わらず針金は爪と肉の間を指します。
 何かの限界を見た気がしました。
 そして翌日のAM1時半を過ぎた頃、偉いひとの「今日はとりあえず終わりにして、明日にひきつぎましょう」のひとこと。あぁやっと帰れるのねでも明日の集合は9時。
 そういやヒカルの碁が最終回だったということにショックを受ける。見たかったよぅ。

 3月27日(木)
 AM09:00〜搬送倉庫にてバイト
 5分くらいの遅刻で到着したバイト先には、朝イチでトラックが大量の段ボールを届けてくれましたダンダンドゥ。
 朝っぱらから、決して軽くはない無数の段ボールを運ぶ肉体労働。明日は筋肉痛だ。
 それ以降、やっていたことは昨日とほぼ変わりません。
 ただ、夕方から雨が降り、外での作業が不可能に。
 一旦屋内に避難したときの私の心境は「帰らせてくれ」でいっぱいでした。
 それでも今日中に出荷しなくてはならない荷物があるらしく、なんとか屋内だけで検品、値付け、出荷準備の荷造りを済ます。
 無論、昨日からの一万個のカバンなんて出来るはずなく、色々削りに削った上での出荷です。
 昨日から私が手掛けていたカバンとは別に、まだチェーンをつけなければならないカバンがあったそうに。しかも同タイプ3種類。
 それは、チェーンだけでなく、取っ手の金具もつけなければならない構造らしく。なんていうかそれくらいそっちでやれよ中国人みたいな。
 そのカバンを作る作業と、出荷準備を平行で進めていき、やっと一段落ついたのが午前二時。
 「……終わった」と放心している面々に天からの(つまり偉いひとの)声。
 「××に送る分、明日の朝イチで送るからやっちゃいましょう。あと66個ね
 それはつまり、66個先ほど言っていたカバンを作らなくてはならないということで。
 66個×3種類なわけで。
 198個なわけですね。
 この時点で残った人数8人。うち、カバン作り以外の作業に入っているのが3人。

 む りー 。

 お仕事終わったのは朝の6時半。朝日が目にまぶしかったよ。
 ただ、それでもその日凌ぎの分が終わっただけで、仕事はまだまだ残ってます。
 私は前々から「金、土は出れません」と宣言してあったのでこの日で終了ですが、私以外のひとは6時に解散しようが9時集合です。

 カバン作りの作業中、一緒に臨時バイトで働いてた方が「明日も来る?」「来るよ、午前中しか無理だけど。これだけ切羽詰ったつまった状態見といて来ないってのも人としてなぁ?という会話をなさってました。

 私は人としてどうかと思われても、ヒトとしての生活を優先させました。

 スケジュール的には午前中だけだったら私も出れたさ。
 でも無理。
 言い訳するなら、上記の会話をしていたお二方は月〜木のうち二日の出勤です。
 渡る世間の最終回が見たかったです。



 あー、つまりですね。何が言いたかったかといいますとね。
 大変だったんだよ。
 私の中で、二年程前のアンティークビル(仮)バイトを抜きました。
 あれも大変だったね。
 これも大変だったよ。
 でも、4日間でコンビニバイト一か月分以上稼ぎました。わーい!これで電話止められずにすむよ!


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