斜め読み日記
みなと



 名前も覚えてない人だけど。

あるところに
電化住宅を手掛ける会社に勤めている人がいました。

その人は両親と3人で暮らしていましたが
両親は暮らし始めたころから年期が入っていた家で
かなり苦労をしてきたので
「老後は新築のマンションで過ごしたい」という夢を
持っていました。
そして2人でモデルルームを巡り
パンフレットを集めておりました。


ある日の事
仕事を終わらせて帰宅したその人が
いつものように
先に寝た両親が用意していた夕食を
食べようとしておりました。

テーブルの上には
マンションのパンフレット。
「ああ。今日も行ってたのか」と思っていると

普段は起きてこない両親が
部屋から出て迎えてくれました。

「お前に話したい事がある」
「何?」


「せーのっ

買っちゃった!(×2)」



「は?いつ?」



「せーのっ

3週間前!(×2)」


「言えや!引っ越しは?」



「せーのっ

あさって!(×2)」


「だから言えって!」


「お前どうする?」
「行きたくない」
「そういうと思ってた。
最低限必要なのは置いていくから」


「…ていうかこのマンション?」
「そうだ」
「ちょっと待って。
『○○マンションの最上階。
 年金世代のお客様用のゆったりした家電・照明配置』って
これおれがプランニングした仕事やん!」
「そうなの?」
「名字普通すぎて気付かんかったわ!
代金はどうやって払うん?」
「え、普通に業者さんと連絡して」
「明日すぐ支払いキャンセルしろ。
息子が社員だから社員割引使えるってなんで気付かんのや!」






「…で、引っ越しの日仕事から帰ってきたらもう何もない。
俺しか使ってない箸まで消えて
お皿1枚とスプーンだけ5本も残っとった」


という体験談を聞きました。
合コンって楽しいですね(なんか違う)。

2010年07月21日(水)
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