実は、ベルギーに旅行するのに買ったガイドブックに(ベルギー、オランダあたりはいっしょに載っていることが多い)フランダースの犬は、本国ではメジャーではないと書いてあった。 聞くところによると、確かに世界的にメジャーでアメリカでは4回も映画化されているらしいのだけど、一番受け入れられている国は、日本なのだそうだ。それと、韓国。(^ー^;
現地では……というと、日本人観光客が「ネロが死んじゃった教会はどこ?」などと聞くので、いったいネロってなんじゃろ? の世界だったらしい。 で、とある人が『フランダースの犬』にたどり着き、アントワープ聖母大聖堂前にネロとパトラッシュ祈念碑ができるにいたった……のは、平成15年のこと。 原作者がイギリス人であったこともあるのか「わしら、困った子供を死なせるような人でなしでねぇ!」という気持ちもあったのか、この話は好かれていなかったようです。 それに、原作のネロは15歳。アロアとは、友情以上の大人の恋心を抱きはじめていた年頃。小さな子供とは言えません。 まともな職にありつければ死ぬことのない年齢です。 そのことから、どちらかというと、作者には社会的な訴えの意図があったのでは? とも思えます。
しかし、日本で子供用に書かれている本やアニメでは、ネロは10歳前後に描かれることが多いみたいです。 これでは15歳のネロよりも生きようがありません。 この作品から社会を批判するメッセージを読み取ろうとする人も少ないように思います。 むしろ、拾ったお財布をねこばばしない、差別的な目で見られても誇りを捨てない、自分の夢を叶えるために一生懸命生きたネロ少年に感動したのではないだろうか? そのためにネロは死んでしまう。そして、大勢の人たちが、彼が死んでから悔やむ。 それって、少し侍的で、日本の美徳と共通しています。 「武士道というは死ぬここと見付けたり」 と、同じに扱うのは、大げさか?(^0^;
ちなみに、アメリカの映画で私が見たものは、ネロが死なないものでした。(笑) 最後にパトラッシュが吠えて、人々にネロの存在を伝える……って感じだったと思います。 アメリカ的だなぁ。(ーー)
日本の多くの子供たちが「ネロを助けたい」と願い、もうちょっと早く見つけてあげれたら……と、涙にくれた『フランダースの犬』 おそらく作者の意図とは別の形で日本人に受けて、名作となったのではないでしょうか? それもまた、よろしいのではないのでしょうかかね。(^ー^)
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