2006年02月15日(水) |
【オンライン短編】みにくい姫君のお話 |
私は、昔から文章書きでも文学少女でもなく、ネットでぽっと出の物書きなのですが、そんなヤツでもある程度は物が書けるようになるさ! と思っています。 ……が。(ーー) 長年コツコツ培ってきたんだろうな……と思う人には、絶対敵わないところもあるな、って思うんですよね。 書く事もさることながら、読む事もです。 もう絶対に埋めることのできないレベルの差を感じてしまいます。 ネットには、もう自分と比較するのもおこがましいほどすごい人が何人かいますけれど、ゆりかごさんは、まさにそういう人なんだなぁ……と思います。 以下は、A&Cからの転載です。
*** (洒落さんの)感想が面白かったので、便乗して読みに行きました。 ゆりかごさんの作品には、前にも【鮭缶、あるいはその日ヒロシマで】を読ませていただいて、えらく心を動かされていたのですけれど、今回は別の意味で、やっぱり心を動かされました。 それと、作品によって色々な表情を出せるゆりかごさんの技量にも感服してしまいました。
私は、深く考えず、そっくりそのまま童話として読みました。 そして、何も考える事なく、懐かしい気分になりました。 小さな頃に母に読んでもらったお話や、自分で読んだお話は、みんなこんな感じだったと思います。
童話には残酷なシーンとか勧善懲悪の教え、教訓などが含まれていることが多いです。 私がよくあとがきで目にしたのは、「ラストシーンが残酷なので、子供向きに省いた」というものです。 また、色々な人が解釈をすると、性的な象徴話であったりもするようです。 【本当は怖い……】というたぐいの本もありましたね。 でも、この作品にはほとんど残酷なシーンがなく、悪い虎やら鳥やら出てきて、最後に退治されてしまいますが、それも苦しんで死んでいく描写がありません。 そして魔女も姫も従者も騎士も、みんないい人です。 姫には、悪い心と善き心があって、その悪き心を退治するお話です。 なので、私はこのお話がとても優しいと感じました。 そして、今風だと思いました。
洒落さんのように文章を味わっても、童心に帰って読んでも、楽しめるお話だと思います。 読んで心地のいいお話でした。
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感想の流れから、自分の解釈をたくさん書かないほうがいいかな? と思って、「優しい」と書きました。そして、今風と書きました。 童話は子供達に悪い人は痛い目にあっていい人は幸せになるといった、教訓を含めることが多いです。だから、悪者は徹底的に悪として描かれ、善人は多少のふらつきはあってもよく描かれます。 このお話は、今までの童話のパターンを踏襲しながらも、善と悪をたった一人のお姫様の中に入れたところが、斬新で今風だと感じました。 お姫様は醜いです。でも、見ようによっては美しくも見える。 人には、きれいなところと醜いところがあって、それで一人の人間として存在する。 が、醜くて悪いところは断ち切り、いかに美しく善き存在でいられるか? が、大事なんだと私は思います。 たとえば、指輪物語のサルマンやボロミア、デネソールのように、指輪の力に翻弄される者も、はじめから悪ではありません。 このお話は、童話でありながら、悪者を退治するのではなく、悪者を救うお話なのです。 今まで退治されるばかりの悪に負けた弱い人間は、もう一度やる直せる機会をあたえられたかのようです。 だから、私は、このお話がとても優しい慈愛に満ちたお話だと感じました。 そして、とても今風だと……今の倫理観に根ざしたものだと思ったのです。
子供がいたら、ぜひ読んで聞かせたい素敵な童話です。(^ー^)
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