本日の感想文。

2002年10月05日(土) 地下鉄にて……

最近、障害のある人をよく見かけるようになった。
たぶん、障害者が増えたのではなくて、障害のある人でも外にでやすくなったということだろうと思う。
とってもいいことだ……と思う反面、これだけ障害のある人は多かったんだなぁ……外出しにくかったんだろうなぁ……と、自分の意識の低かったことに驚いてもいる。
札幌で【障害者世界大会】なるものが開催されるせいもあり、これからしばらくはますます障害のある人を見る機会もふえそう……。

今朝、地下鉄で面白い光景をみた。
どうみても、知的障害がありそうな青年が、斜め向かいに座っていた。
彼は薄ら笑いを浮かべて、時々意味不明なことをつぶやいている。
顔中に湿疹ができていた。何かにあたったのだろうか? 体にも湿疹があるらしく、時々服の上からあちらこちらを掻いている。
土曜日の朝ということで、さほど混んではいなかった。
人々は、彼を遠まわしにしていて、彼の周りは誰も座る人がいなかった。
地下鉄・一駅ごとに人が乗り込み、ついに彼の両隣だけが空き席となった。

とある駅についたときだ。
突然、大きな犬が現れた。
実は盲導犬だった。目の見えないご夫婦が乗り込んできたのだ。
盲導犬を連れているご主人の後ろ、奥さんも白い杖をついている。
「どこか席は空いていますか?」
と、ご主人が回りの人に声をかけた。
すると、先ほどの青年が間髪入れず真っ先に答えた。
「ここ、空いています! どうぞ!」
そう叫んだかと思うと、青年はすくっと立ち上がり、鉄砲玉のように隣の車両まで走り去ってしまった。
残された周りの人たちがご夫婦を誘導し、座らせてあげた。
盲導犬は、ご夫婦の足の間にもぐりこんで伏せた。

地下鉄は徐々に混んできた。
目の不自由なご夫婦は、並んで座っていた。
席を譲った青年がどこまで行ってしまったのか、私はわからない。
でも、あの青年の行為がとても見ていて気持ちよかったので、今日一日とてもいい気分で過ごせた。


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