最近、障害のある人をよく見かけるようになった。 たぶん、障害者が増えたのではなくて、障害のある人でも外にでやすくなったということだろうと思う。 とってもいいことだ……と思う反面、これだけ障害のある人は多かったんだなぁ……外出しにくかったんだろうなぁ……と、自分の意識の低かったことに驚いてもいる。 札幌で【障害者世界大会】なるものが開催されるせいもあり、これからしばらくはますます障害のある人を見る機会もふえそう……。
今朝、地下鉄で面白い光景をみた。 どうみても、知的障害がありそうな青年が、斜め向かいに座っていた。 彼は薄ら笑いを浮かべて、時々意味不明なことをつぶやいている。 顔中に湿疹ができていた。何かにあたったのだろうか? 体にも湿疹があるらしく、時々服の上からあちらこちらを掻いている。 土曜日の朝ということで、さほど混んではいなかった。 人々は、彼を遠まわしにしていて、彼の周りは誰も座る人がいなかった。 地下鉄・一駅ごとに人が乗り込み、ついに彼の両隣だけが空き席となった。
とある駅についたときだ。 突然、大きな犬が現れた。 実は盲導犬だった。目の見えないご夫婦が乗り込んできたのだ。 盲導犬を連れているご主人の後ろ、奥さんも白い杖をついている。 「どこか席は空いていますか?」 と、ご主人が回りの人に声をかけた。 すると、先ほどの青年が間髪入れず真っ先に答えた。 「ここ、空いています! どうぞ!」 そう叫んだかと思うと、青年はすくっと立ち上がり、鉄砲玉のように隣の車両まで走り去ってしまった。 残された周りの人たちがご夫婦を誘導し、座らせてあげた。 盲導犬は、ご夫婦の足の間にもぐりこんで伏せた。
地下鉄は徐々に混んできた。 目の不自由なご夫婦は、並んで座っていた。 席を譲った青年がどこまで行ってしまったのか、私はわからない。 でも、あの青年の行為がとても見ていて気持ちよかったので、今日一日とてもいい気分で過ごせた。
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