■見学者 今日は午後いっぱい研修だった。そこそこに魅力的な、しかしかなりマニアックで聴く人を選ぶ講演を聴き、同業者のプレゼンを聞く。プレゼンはどれもこれもアイディアはいいのだが、夢いっぱいすぎて実際に着手されることはないだろう。最初から盛り込みすぎるのは良くない。 会議室で退屈な一時を過ごし、スケジュールの最後には見学が盛り込まれていた。日本有数と言われる巨大地下書庫。係員でさえ全ての所蔵資料を把握していない。一般には貴重書となるであろう数々の資料が無造作に書架に突っ込んであり、見るものが見れば宝の山だそうだ。 集合場所に集まったのはわずか五人。他の参加者は皆別の場所に見学に行ったようだ。こんなほこりっぽくて陰気な地下に潜るのは――僕たちのような物好きだけのようだ。 小柄な係員の案内でエレベータに詰め込まれる。小さな箱はゆっくりと未知の紙束で溢れ返る地下へと降りていく。 ***** ひさしぶりに推敲なしの書きっぱ掌編。 当然フィクションです。 そしてウィザードリィでもない。 続きはいずれ。
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