白日の独白
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16歳無職の少年2人がホームレスを川へ飛び込ませて溺死させた。
少年達はホームレスを「人間の屑」と言った。 少年達にとってホームレスは、社会的な居場所を失い、家(家庭)を失い、どこにも居場所が無く、社会から『亡き者』とされているように見えたのではないだろうか。
けれどそれは少年達も同じだと想う。 高校進学率が90%を超えた今となっては『16歳無職』とは社会的には『居ない』と同じだ。 少年達も社会的居場所を失い、何の躊躇もない行動から推測するに、家(家庭)も無かったのだろう。 社会から殺されてしまった現実を受け容れることはおろか、直面する事も難しいだろう。 当然生きる為の手段を持つ事も、生き直すことも出来なかった。 少年達は唯その現実を打ち消す為に『ありありとわかる』ホームレスを殺した。
それは人は何時までも負けている訳にはいかない。勝たなくてはいられないからであろう。 少年達は殺される側から殺す側にまわった。
皮肉な事に、少年達は『殺人』によって社会的な役割と居場所を与えられるだろう。
少し先の未来を見通す事も出来ない。自分に行為を顧みる事も出来ない。躊躇させる存在も持ち合わせていない。 或は出来ないでのはなく、辛い現実から逃避する為に思考を停止させているに過ぎないのかもしれない。
『生きていない』彼等は成長して、そして成熟する事は出来るのだろうか? このままだったら彼等の未来は、絶望だけだと想えてならない。
少年達がどんな人生を歩んできたのかは僕にはわからない。 断片的な情報の欠片の単語から、全部夢想されたこと。
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