| 2009年07月01日(水) |
「モノレールねこ」にも乗れーる |
加納朋子著「モノレールねこ」
巻末の書評家さんの解説の「ザリガニの話で泣くなんて思いもしなかった」との言葉を本編を読む前に目ざとくみつけ、そうしてページをくった八つの物語からなる短編集。
軽い文章でさらさらとページをくってゆく。
表題作の「モノレールねこ」とは、ブロック塀の上をたぷたぷの垂れ下がる脂肪で両側から挟むようにして、僕とタカキの互いに顔を知らないままのふたりの間を手紙を運び、親友とまで繋いだ伝書ネコ(野良猫)である。
間違いなく、それを見かけたとしたら「わたしは猫ストーカー」と化してしまうだろう。
そうして警戒の紐をゆるゆると解かせ、「バルタン」と名付けられたザリガニの話に、最後にたどり着かせられる。
ザリガニに「バルタン」。
この軽すぎる軽妙さ。 ゆるゆるに解かれた紐は、すっかり結び目もなにも見る姿なく、軽やかに解き放たれる。
まったく。油断も隙もない。
ジン、としかけてしまった。
塀の上に「モノレールねこ」は見あたらないが、 路地を抜ければモノレールや野良猫なら、いる。 不忍池に「バルタン」はみかけないが、 神社の池に「ガメラ」なら、いる。
彼らは、ジン、とではなく、のほほん、とさせてはくれる。
非常に、非情に、惜しい。
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