夢見る汗牛充棟
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2008年09月14日(日) |
歴史 上 ヘロドトス |
岩波文庫 松平千秋:訳
熟成積読
とりあえずは通読完了。数ヶ月かかってしまったです。 中と下がまだ残ってるので、全部読むには一年がかりでしょうか。
紀元前の出来事を紀元前生まれの人が記したものを、日本語で読めると いうのはものすごいことだなぁ、と。
歴史年表とつき合わせて読むというより、単に物語として個々のエピソード や風土習俗などの記述を面白がって読みました。
やはり、人の名前がややこしくて混乱する。同じ名前の人が同一人物なのか とかわからないです。とほほ。あと地理も。
でも骨肉の権力争いとか、策謀で兄弟を手にかけ深く悲しむとか、 女性として矜持を傷つけられ復讐に走る美女とか。燃えました。
毒にも薬にもならない、慎ましい、完全調和な日々などは、一言で 記述が終わってしまうわけで、強烈な個性の強烈な欲望のぶつかり合い があってこそ、筆ものるし、記述する価値がある、という点でどしょうも なく歴史家と平和というものは相性悪いんだろうと、思いつつ ちょっとヤン提督を思い浮かべた次第です。 (おそらく読者たる私と平和も相性悪いんだけど)
あとは、エジプトのミイラの作り方とか詳細に書かれていて面白かった。 ギリシャの人にはやっぱり興味深い事だったのかな。 特に、ミイラに松竹梅があったのが面白かった。 紀元前から、お銭次第で、ミイラの作り方にも差が出ると。 今の日本で死者の送り方、金次第でどれだけ差があるか思うに付け、 人間って時と場所を越えて変わらないねーと、微笑んでしまいましたー。
あとは、ヘロドトスさんの記述に出てくる遺跡とか、どんなのだろうと 思うと心がときめきます。この人が生きていた時代のものは、すべて 遺跡なのに、その彼が遺跡と呼ぶものがあるんだねー。うっとり。
それに、金が川を流れてるとか、砂のように砂金をつめるとか。 輝石をそのままくりぬいた棺とか。 ああいう、鉱物類は所詮早い者勝ちなので(笑) この人たちの時代には、その辺の石ころもキラキラしてたのかなと 思うと、羨ましく涎でます。
あとエチオピア長命族というのがやたら気になった。 とにかく体格よろしく、美しく、頑健で、長命らしい。 ……ファンタジーのエルフっぽいーと思いました。
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