夢見る汗牛充棟
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2008年08月04日(月) |
教会の悪魔 ポール・ドハティ |
ハヤカワミステリ 和邇桃子:訳
読了。
密偵ヒュー・コーベットシリーズの第一作目、らしいです。
恐ろしい、薄汚い中世ロンドンっぷりがこれでもかと描かれています。 アセルスタン修道士シリーズなんかもそうでしたけど、これが作者の 独特の味わいってやつなんだろうか。
中世ヨーロッパとか、中世イギリスとか好きで文化史とかそいった 関連の本をいくらかは読んでいますが、そういうものに忠実に町並みや 生活やらが描かれているので、目に浮かぶようです。 薄暗い中世に浸るにはうってつけのような気がする。
探偵役のヒュー・コーベットさんは妻子を黒死病で亡くして おられて、アセルスタンに出てくる飲んだくれ騎士のおっちゃん。 ええと――ジョン・クランストン卿、だった――に良く似てました。 彼より若いけど。 余裕なく、ぎりぎりしていて、優しさがなく、それはそれで青くて 可愛いかもしんない。 歴史ミステリだと思うと、絶対にカドフェルさんと比べてみてしまう。 カドフェルさんに比べれば誰だって余裕ないし、優しくないよ。 (ついでにヒューというと、ヒュー・べリンガーだー)
ともあれ、アセルスタンといいクランストン検死官といい、 このコーベットさんといい、傷心設定萌えなのかしら。作者さん。
どちらかというと霜元から出ているアセルスタン修道士シリーズ の方が好みかな、と思います。
かなり訳文のせいもあるかもしれない。ええとこちらの本の 訳は、かなり主語を端折ってあって、誰の動作なんだか、誰の台詞 なんだかわかり難く、ついでに文章がぶつぶつしていて物語としての 趣に欠けている気がして、実のところまったく好みではなかったです。
あーでも、ちゃきちゃきのロンドンっ子なレイナルフさんは好きー。 縛り首でぷらぷら揺れなくてよかったね。
んでもって、懲りずに同じくハヤカワミステリ刊のポール・ドハティ 白薔薇と鎖、注文済み。訳者は同じなんですが、読まずにはおれん。 で一緒に探偵アルバート・サムスンさんの本も注文しちゃったよ。 以前好きで読んでいたのでしたー。
白薔薇と鎖は、ヒュー・コーベットさんとは別話らしいです。 ヒューさんのシリーズ、続刊したら嬉しいです。
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