夢見る汗牛充棟
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2000年02月24日(木) 白い手


「白い手」






焼きあがった肉を食らえば

テレビから遠い悲しみが流れこむ



かつて爺さんが獲ってきた

鴨の頭には散弾がこびりつき

田んぼの側の用水路に腰掛け

羽根をむしりとる爺さんを

わたしは責めた

用水路に白い羽毛を散らばしながら

爺さんは淡い笑いを浮かべていた

「あがらっしゃ。うめえがら」

わたしはなんて愚かだろう



わたしは白い手で

肉を

絵空事の死を

咀嚼して汚れる







(2002.12.17)



恵 |MAIL