「白い手」 焼きあがった肉を食らえばテレビから遠い悲しみが流れこむかつて爺さんが獲ってきた鴨の頭には散弾がこびりつき田んぼの側の用水路に腰掛け羽根をむしりとる爺さんをわたしは責めた用水路に白い羽毛を散らばしながら爺さんは淡い笑いを浮かべていた「あがらっしゃ。うめえがら」わたしはなんて愚かだろうわたしは白い手で肉を絵空事の死を咀嚼して汚れる (2002.12.17)