Leonna's Anahori Journal
DiaryINDEXpastwill


2004年03月17日(水) 内田光子とロンドン響

暑いうえにやたら風の強い日。
青山一丁目の交差点、ホンダ本社前の横断歩道を渡ろうとしたところ強風に押し戻されて立ち往生。

前へ進めない。押し戻されてしまう。かと思うといきなり下から突風にあおられる。チマリスもう少しで春の大空を舞ってしまうところでした。


--

夜。サントリーホールでロンドン交響楽団+内田光子(ピアノ)のコンサート。

内田光子は私が愛してやまないピアニストです。クラシック、いや全てのジャンルの演奏家の中で最も好きなアーティスト。どれくらい好きかと言うと、もし彼女が男だったら結婚したいくらい好き(笑)。

八十年代の終わりに彼女の弾くモーツァルトのピアノソナタ第2〜5番のLP(まだCDではなくLPでした)を買ったその日から、ピアニストといえばミツコ、モーツァルトといえばウチダのわたくしなのです。

そういえば亡くなった安原顕氏も内田光子、好きだったですねー。以前、日曜夜のNHK教育の番組で彼女にインタヴューしてましたけれど。そのとき私、内田光子もさることながら安原氏のあまりにヒップなスーツ姿に釘付けになってしまいまして(笑)。すごかったですよねー、ヤスケン氏のファッションセンスは。(ああ、なつかしい。)

--

初めて生で聴く内田光子の演奏は期待をまったく裏切らぬ、素晴らしいものでした。主役のロンドン交響楽団がまた良くてねー! 品格があって、しかも楽しい演奏とでもいうのかな。

パンフによれば内田光子は指揮者のサー・コリン・デイヴィスのことを絶賛していて「彼がモーツァルトをやるときは本当に嬉しそうにニコニコしながら指揮するんです」ということだったのだけど、本当にその通りでした。
実は今回私たちの席は舞台後方寄り左側の二階席で、すぐ足下にはパーカッション(銅鑼とマリンバ)の奏者が立っているという場所。だからずっとサー・コリンの顔を見ながら音楽を聴くことができたのです。

サントリーホールでこういう席に座るのは今回が初めてだったのだけれど、舞台に近いというのはすごい事で、指揮者も奏者も間近に見る事が出来る。内田光子の右手の指が優雅にキーの上を跳ねるのまで見えるのだ。しかも、足の裏からオーケストラの生音がガーッと這い上がってきて、膝から胸を通って頭に抜けるんですよ! もー、至福でしたわ。

--

ひとつ印象的だった事。私たちのすぐ足下で演奏していたにいたパーカッショニスト氏、一曲目の『ピーター・グライムズ』で一発目の銅鑼をジャーンと鳴らした途端に顔が上気して、みるみるうちに耳の先まで真っ赤になってしまった。きっと最初のジャーンまでの緊張が一瞬にして解けた、その瞬間だったのでしょうね。 (4月某日 記す)



レオナ |MAILHomePage