Leonna's Anahori Journal
DiaryINDEX|past|will
三月に入ったとたんに寒が戻って、一昨日は雪。 今日は帰宅途中、駅前の書店を出たところで降り出した。小さな雨粒のようなものはすぐに霰(あられ)に変わり、冷たい礫(つぶて)は、私のダウンコートの襟や肩に当たってパチパチと音をたてた。
--
その駅前の書店で。雑誌の立ち読みをしていて、編集者の書いた短い文章からモデルの深沢エリサが亡くなっていたことを知り、愕然とする。
最近でこそ、まんま日本人顔のモデルというものが登場してきたが(ただしボディは八頭身以上)私の子供時代には、モデルといえば所謂ハーフ、バタ臭い顔に茶色い髪の毛というのが断然主流だった。 深沢エリサは私に、なによりもそのいにしえのモデル像、懐かしいハーフ顔を持ったモデルたちを思い出させる。
一昨年くらいに雑誌で彼女が自分で撮った写真(ポラロイドだったかも)というのをみたら、その中に入院中のお母さんを撮ったものがあった。そのとき直感的に、この人はけっこう重たい荷物を背負って生きているヒトなのかもしれないと思ったのだった。
(病床の母親が“重たい荷物”なのではない。その母親に対するエリサの視線に何か感じるものがあったのだが、それをいまここで上手く説明するのは難しい)
そしてそのとき彼女に対して抱いた印象は、華やかなファッションピープルである彼女のイメージと相反するものではなく、むしろしっくりくるような感じさえした。少なくとも私の中では。
--
帰宅してインターネットで調べてみたら(なにしろ病気で亡くなったとしかわからないのだ)、こんな場所へ行き着いた。
深沢エリサのことは、私は、雑誌の写真でしか知らない。けれども私はこの人のことを、顔を、これからも何かにつけて思い出すのではないか。そんな気がする。もちろんそれは、現実の深沢エリサとはまったく別の、私の内部におこった個人的な経験の思い返しにすぎないのだけれど。
|