2006年04月29日(土) |
プリンス東海 浜名高校戦 |
06年04月29日 (土) 14:15開始 清水総合運動場 JFA プリンスリーグU-18 東海2006 対 県立 浜名高等学校 ※45分ハーフ 天候:曇り
▼試合展開 ここまで特に目立った活躍こそなかったが、ミスの少ないプレーで計算できる存在だった1年生CH前田が、U-16代表のイラン遠征のためGWの3試合は不在。CHは第1節が前田・池田 (途中から前田・神田)、第2節が前田・神田 (途中から前田・町田) と固定できないでいるポジションだが、果たして今節は池田と今大会初出場の滝戸という組み合わせになった。1分1敗とやや調子の上がらない前半戦だが、他のポジションは3節通じて不動。3年生9人、2年生1人、1年生1人。 一方の浜名は、メンバーがはっきりしないのでコメントしづらい。が、165cmながらワントップを張る松浦は、昨年大会の得点王。彼以外にも今年は監督が充実していると語る学年であり、スルガカップ決勝で対戦した (そして敗戦した) ジュビロ浜北の水川・広野・市野・佐藤といった選手や、グランパスJrユース出身の堀切といった選手がいるはずだ。トップ下の一角を占めた18番は、昨年までジュビロ浜北に所属した長身FWの町田選手だと思われる。
[前半] 清水エスパルスユース (〜33分) −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− − 桑原彬 −岩本− 佐野克−桑原卓 − −−−−−−池田−−滝戸−−−−−− −−小泉−−−−−−−−− 佐野傑 − 33分:町田 →山崎竜 −−−−−−長沢−−町田−−−−−− 42分:佐野傑→小出 (小出LB、桑原卓LH)
−−−−−−−−松浦−−−−−−−− −−−−堀切−−19−−町田−−−− −−−−− 鈴木喜 −08−−−−−− −−13−−15−−04−−02−− −−−−−−−−田村−−−−−−−− 交代:なし 県立 浜名高等学校
開始早々RH小泉が繋いだボールをFW町田がポストで落としたところ、CH池田のライダーキックボレーが枠外。更に3分、池田が浜名OH町田からファウルを受けると、中盤右寄りから岩本のFKをファーで佐野克が頭で戻し、長沢が叩き落としたヘッドはGKキャッチ。前節敗戦の後遺症を感じさせない、積極性を見せる。対する浜名はセットプレー。8分、長いFKが佐野克のワンタッチあって左CKを得ると、19番のキックをニアで15番が合わせるがバーの上を舐めるように外れる。10分、FW松浦がCB佐野克の懐に巧く潜り込んで反転、ファウルを誘ってPA右角から前に10MでFK。これを4番が直接狙ったが、一直線にニアのバーに弾かれた。 この日の長沢は空中戦絶好調。あそこまで流れの中のヘディングで競り勝つ長沢を、筆者は初めて見た。ただ浜名はDFラインが全く攻め上がらず常に4人を残しており、長沢が落としたボールを丹念にケア。16分にゴールキックをFW長沢が頭で後ろに流して町田がキープ、追い抜いた長沢がもう一度受けてシュートを放った (枠左) 場面こそあったが、全般に2トップの連携に課題を残す。浜名は専守防衛4バックの他は、2人のDHがボールホルダーにプレスを掛けていたが、前方の4人はカウンター時に清水DFラインと4:4をつくれるポジションを心掛けていた。そのためDHの網を抜けると逆サイドの中盤にスペースが大きく広がっており、清水はそこをSBが突くことでペースをにぎっていく。
19分、RB桑原彬からLB桑原卓への兄弟サイドチェンジ、縦に突破した桑原卓がPA左外でFKを得ると、小泉のキックをニアで長沢が頭でファーに流すが、枠外。21分、粘ってキープした池田がサイドにはたくと、受けた小泉の内側から桑原彬が追い越してボールをもらって切り込む。再び右外へパスを出し、抜けた小泉のクロスに左外から内に十分に助走したLH佐野傑、ヘッドを放つが、これも枠外。前に3〜4人残してる浜名もカウンターで数的同数になりかけるのだが、1対1で負けてしまっては同数の意味をもたない。唯一松浦が何度が佐野克を手玉に取り、27分にはサイドチェンジのボールを佐野克に背を向けて巧く処理し、機敏なターンから25Mシュートを放ったが、枠の右。 いよいよ桑原卓の攻撃参加の勢いが増し、ファーへ速いクロスを送り込む。この状況を見て、行徳監督は町田を山崎竜に交代。2トップの連携で崩すよりも、クロスに対する受け手をもう一人増やそうとの意図か。そして40分、CB岩本のカットを自陣から小泉のサイドチェンジ、大きくスペースの空いた左サイドに通る。受けた佐野傑、この日は何度も体で潰されていたが、果敢に縦へ勝負。マーク2人を振り払えはしなかったが、このチャレンジで彼の背後にスペースが生まれた。戻したボールを桑原卓が中をよく見てクロス、長沢がヘッド、バーに弾かれて垂直にバウンドしたボールを山崎竜が蹴り込み、ついに清水が先制する。1−0。浜名は終了直前の43分、岩本が松浦にファウルし、中央30M強のFK。先程強烈なFKを見舞った4番がまたぎ、鈴木喜がそれを蹴るが、またもバー直撃。そのまま前半を終えた。
浜名高校 清水エスパルスユース 7(0) シュート 9(2) ×池田、○長沢、×長沢、×長沢、×長沢、×佐傑、×池田、×長沢、◎竜男 1(0) 右クロス 5(1) ×小泉、○小泉、×池田、×小泉、×小泉 0(0) 左クロス 10(2) ○桑卓、×佐傑、×克彦、×佐傑、×克彦、×桑卓、×佐傑、×桑卓、×佐傑、○桑卓 0(0) 右側CK 3(1) ○佐傑、×佐傑 1(1) 左側CK 2(0) △小泉、△小泉 1(−) 犯OS 0(−) 5(2) ファウル 11(2) ・町田、・町田、×克彦、・岩本、・長沢、・佐傑、・池田、・長沢、・小泉、・岩本 ×岩本
[後半] 清水エスパルスユース (05〜25分) −−−−−−− 山崎晃 −−−−−−− − 桑原彬 −岩本− 佐野克 −小出−− −−−−−−滝戸− 佐野諒 −−−−− −−小泉−−−−−−−−− 桑原卓 − 05分:池田→佐野諒 (左図参照) −−−−− 山崎竜 −長沢−−−−−− 30分:小泉→望月卓
−−−−−−−−松浦−−−−−−−− −−−−17−−19−−11−−−− −−−−− 鈴木喜 −08−−−−−− HT:町田→11 −−14−−15−−04−−02−− 13分:13→14 −−−−−−−−田村−−−−−−−− 20分:堀切→17 県立 浜名高等学校 (20分〜)
後半も機を見てSBが攻め上がり、ピッチ幅を大きく使う戦術は変わらない。7分、CH佐野諒・CH滝戸と繋いで小泉がドリブルを仕掛けたところでクリア、右CKとなる。小泉のキックはニアでDFにカットされるが、大きく縦に蹴り出したところを守備に残っていた2人のうち小出が拾い、桑原彬がサイドに残る小泉へスルーパス。浜名は押し上げが遅く、大きなスペースを提供した代わりに、後方にDFを残していた。小泉は深く抉るが、前に人垣に残っている。が、一つ外側でフォローした佐野諒に戻すと、佐野諒はナビスコ広島戦の浩太を思わせる、DF越えふんわり右クロス。マルキーニョスよろしく長沢が仰け反りながら柔らかく頭を合わせ、ゴール左に流し込んだ。2−0。 直後10分、佐野諒からのクサビに対する長沢の処理が乱れ、拾ったOH19番がフリーの状態で浜名待望の4:4。が、結局PA前からミドルを撃ち、大きく上に外してしまう。この場面に象徴されるとおり、浜名は1対1で上回る清水DFを流れの中でどう崩すか、アイデアが不足していた。一方の清水は、巧みなトラップとボディシェイプで1対1に優位に立ち、流れの中で面白いようにパスを回していく。特に左サイド、桑原卓と小出は互いにポジションを代えても全く違和感がなく (当たり前だが)、代わる代わるドリブルを仕掛ける。彼らと適切な距離を保った滝戸・佐野諒の両CHも、滝戸の大きなサイドチェンジ、佐野諒の鋭いスルーパスとアクセントをつけていた。
19分、佐野諒のスルーパスで小出が突破、DFに引っ掛かるが山崎竜が拾って戻し、滝戸がミドルを撃つが枠上に外れる。21分、ポストの長沢が戻して小出がクサビ、山崎竜が左に流して桑原卓の突破をカットされ、左CK。滝戸がショートCKを選択、小出のクロスをニアの山崎竜が頭でファーへ流すが、DFにカバーされる。クリアボールから佐野諒が突破され、浜名のカウンターになりかけるが、残り1名の桑原彬がきっちりドリブルブロック。31分、滝戸のダイアゴナルフィードで一気に右サイドの裏に飛び出した小泉、ダッシュ、ストップ、右回りターンからシュートを放つが、枠を外す。35分、滝戸が今度は右から左へダイアゴナルフィード、受けた桑原卓は中央に切れ込み、もう一度滝戸に戻すと、佐野諒を経由して左サイドに小気味よく回し、小出のダイレクトクロス。長沢がファーで合わせる決定機だったが、またもや枠を外してしまう。 37分、浜名はRB2番がオーバーラップ、松浦とのワンツーからクロスもゴールラインを切る。39分にも再び攻撃参加、タッチに逃げられ、右スローインをRH11番が強引にミドルを放つが大きく枠を外す。44分、三度攻め上がり、もう一度松浦とのワンツーでクロスを入れるが、ファーで桑原彬がクリア。足から根が生えたように最終ラインから動かなかったSBがようやく前に出たが、あまりに反撃が遅かった。 試合はそのまま2−0で終了。前半8分の左CK以外では、相手のシュートをPA外からのミドルと直接FKしか許さなかった (しかも全部枠外) 完勝劇だったが、だからこそもっと点差をつけるべき試合だった。課題は明白。なにしろ清水の枠内シュートは、わずか「3」である。
浜名高校 清水エスパルスユース 3(0) シュート 8(1) ×長沢、◎長沢、×長沢、×滝戸、×竜男、×小泉、×長沢、×滝戸 4(0) 右クロス 6(3) ○滝戸、◎佐諒、×小泉、×卓馬、×卓馬、○桑彬 3(0) 左クロス 5(4) ○小出、○桑卓、○小出、×竜男、○小出 2(0) 右側CK 2(0) ×小泉、×滝戸 1(1) 左側CK 1(0) △滝戸 2(−) 犯OS 1(−) ・桑卓 3(0) ファウル 13(1) ・小出、・竜男、・竜男、・小泉、・長沢、・岩本、・長沢、・克彦、・小泉、×岩本 ・竜男、・佐諒、・長沢
▼試合結果 清水エスパルスユース 2−0 県立 浜名高等学校 得点:前半40分:清水・山崎 竜男 (長沢 駿・シュートリバウンド) 後半07分:清水・長沢 駿 (佐野 諒・右クロス) 警告:前半15分:浜名・町田 倫樹 (ラフプレー) 後半23分:清水・岩本 大 (ラフプレー)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●桑原 卓哉 (3年・LB→LH) 万能型の選手なので、その全てで上回るような状況だと何でもできる。小洒落たトラップに強靱な背中でのスクリーンで1対1に上回り、長い距離を攻め上がった。相手監督からも「ヘッドと13番のドリブル」に対して指示が飛んでいた。
[私撰MIP] ●長沢 駿 (3年・FW) シュート枠外しすぎだが、常に2人以上にマークされた状態で9本のシュートを放ってフィニッシャーの役目を果たし、かつビルドアップの基準にもなった。本文中のとおり、空中戦が素晴らしい。残りの課題は、バックパスのパススピード。
●小出 洋孝 (3年・LB) Jrユース時代のファンタジーは影を潜め、左足の伸びのある大きな展開と切替の早いプレスでコンスタントに活躍した。攻撃面の良さは勿論、殆ど経験のないSBでポジションを誤ることもあったが、粘り強く守備についていっていた。
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