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2004年12月12日(日) Jユース杯 サンフレッチェ広島戦

04年12月12日 (土) 13:00開始 吉田サッカー公園
 第12回Jユースカップ2004 Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメント1回戦
 対 サンフレッチェ広島F.C.ユース (H) ※45分ハーフ
 天候:曇

▼布陣
先発:                終了間際:

----- 鈴木真-山本真----- ------- 篠田悠 -------

--岡村----------谷野-- - 鈴木真 -枝村- 山本真 -上埜--

------枝村--池田------ --------池田--------

- 佐野克-高野美 -村越- 桑原彬 - - 佐野克-高野美 -村越- 桑原彬 -

--------前田-------- --------前田--------

控え:山崎晃、岩本、上埜、柴田、小泉、石垣、篠田悠
交代:後半19分:谷野→上埜  (そのまま右SHに)
   後半25分:岡村→篠田悠 (鈴木真を左SH、篠田悠をFWに)

サンフレッチェ広島F.C.ユース:

----木原--平繁--前田----

--------桒田--------

------高柳--柏木------

--大屋--藤井--槙野--森脇--

--------佐藤-------- 交代:後半17分:前田→横竹 (そのままFWに)


▼試合展開

 清水は、GK風間 (大学受験?) とDF桑原卓 (怪我?) 以外は、ほぼレギュラー陣が揃った。9日の練習で枝村が合流、某氏に保次さんが「間に合わない」と言っていた池田も、前日の紅白戦に出場。システム的には4-1-4-1というよりも、4+4の守備ブロックを維持する志向が強く、ソリッドに守りながら、機を見てスピードのある前線2枚を走らせて攻めようとの意図だと思われる。右SHが上埜ではなく、福山出身の谷野 (IFC福山の選手も観戦に来ていた) なのも、その表れだろう。岩本ではなく美臣をCBで使ったのは、高さ対策より速さ対策を優先させたためか。
 3年生4人、2年生4人、1年生3人。久々に2年生が多く先発したが、4人 (真希・谷野・美臣・前田) とも9日まで修学旅行 (静岡学園) だったのが気がかりだ。それとも、実は修学旅行先が広島で、敵情視察をしてきたのか? (笑) 18名以外にも長沢と神田が同行、矢倉の上からカメラ撮影していた。彼らより先に矢倉に来ていた広島の某君が「それ (カメラ)、壊しちゃっていいよ」なんて爆弾発言をしてたのは、内緒だ。
 広島は、システムもメンバーもベスト。王者らしく揺るぎはない。3トップは非常に流動的でSBも盛んに攻撃に絡み、壊れがちなバランスを高柳と柏木が高度に保つ。3年生7名、2年生3名、1年生1名、高萩はいなくても昨年を上回る史上最強メンバーだろう。冬の吉田、広島駅から1時間30分 (鈍行) の、西目並みの秘境にある素晴らしい芝のグラウンド、かなり見にくいのが難点。肌寒い気温と、怪しげな雲行きと、やや過熱気味の両サポーターの中、試合は行われた。

[前半]
 立ち上がりから広島のプレスが牙を剥く。前日に観戦した、Jrユース中1vs中2での中1同様、僅かな判断の遅さ、パススピードの遅さ、パスを受ける前の動き出しの遅さが積み重なって、縦パスを殆どカットされてしまう。横パスを続けてサイドに逃げれば、パスコースを限定されてしまう。こうしてサイドを完全に制圧された清水は、得意のサイドアタックを封印され、逆に広島得意のサイドを起点に中に切れ込む攻撃を浴び続けることになった。
 2分、左に張ったFW木原からの横パスをFW前俊が中央で受け、左に開きつつ放ったシュート (GK前田ディフレクト) が、この試合のオープニングシュート。続けて2分にはクリアボールを前俊がダイレクト、4分にCB槙野の35Mロングシュート、10分にも40MのFKを柏木が直接狙うなど、全て枠外ながら広島らしいシュートに対する積極性を見せた。14分、ロングキックが清水の選手のワンタッチあって幸運な右CKを掴むと、柏木の速いキックをGK前田が思いっきりカブり、ファーにフリーで槙野! しかし、これは左サイドネットに外れ、事なきを得る。
 この間、清水の攻撃は沈黙を続け、19分に左SH岡村→FW真司と繋いでCH枝村が走り込み、粘って反転から送ったスルーパスにFW真希が飛び込むも、GK佐藤が先に飛び出したのが、最初の攻撃らしい攻撃。だが、その攻勢も一瞬。20分には、今度は広島の10番・前俊がバイタルエリアで粘って反転からスルーパス、それにOH桒田が飛び出したのを、半歩反応が遅れたCB美臣がたまらず肩を掴む。桒田は倒れ、審判が指し示したのはペナルティスポット、…PK。蹴るのは、名手・前俊。だが、GK前田のリズムより遅らせて撃ったシュートは、ループ気味にバーを直撃。清水は、最大の危機を免れた。

 それでも、広島は気落ちすることなく攻め手を緩めない。レフティの前俊が右から切れ込んでのシュートを狙い、左SB佐野がその対応に付きっきりになると、前俊が作ったスペースに桒田、DH柏木、右SB森脇が飛び出す。攻撃に特長のある岡村はひたすら守備に追われ、24分、25分、29分と続けざまに危険な位置でファウル。25分の場面では、PA右隣からの柏木のFKを一度はGK前田がパンチングでクリアするが、それを拾われて逆サイドに展開、FW平繁のシュートは美臣に当たって軌跡が変わるが、GK前田、落ち着いてキャッチした。
 だが、30分も過ぎると、さすがの広島も失速。ドリブルに対してファウルを上手く誘うなど、4バックが落ち着いて3トップに対処するようになった。広島の速さにも幾らか慣れ、特に右SBの桑原彬が起点になれるパスを出すようになる。一つ外側を絡めることで、内→外→内と攻撃の展開に変化が出てきた。31分、真希のミスから許した広島の速攻を枝村がブロックし、逆カウンター。クリアボールを再び枝村が受け、右に叩いて桑彬、クサビを真希がポストに入って、戻したボールを駆け上がってきた枝村のミドル! 清水の初シュートは、枠の右に外れる。そして41分、持ち上がった桑彬が中に切れ込むと、中央のCH池田に戻す。池田もやや左に開きながら持ち上がるや、一気にテンポを上げ、鋭いクサビ。これを真希が右足ダイレクト、アウトに掛けた浮き球のパス、入れ違うように突っ込んだのは枝村。広島の浅いDFラインの裏に抜け出るが、GK佐藤が素早く距離を詰め、シュートを見事に食い止めた。
 その後、44分の真希の45Mロングシュートはさすがに枠上に外れ、そのまま0-0で折り返し。PKを与えるなど清水の劣勢は明らかだが、4バックで3トップのドリブルに耐え、縦に速い攻撃で少ないチャンスを狙うというプランは、それなりに通用していた45分間だった。

広島        清水エスパルス
8(2) シュート 3(1) ×枝村、○枝村、×真希
0(0) 右クロス 0(0)
4(0) 左クロス 3(0) ×真司、×真司、×岡村
3(1) 右側CK 0(0)
0(0) 左側CK 0(0)
0(-)  犯OS  3(-) ・真司、・真司、・真司
11(1) ファウル 9(5) ・村越、・桑彬、・岡村、×美臣、×岡村、×岡村、×岡村、・真司、×枝村

[後半]
 後半最初の15分間は、前半最後の15分間の流れを引きずり、広島にボールを持たせながらカウンターアタックを仕掛ける清水の目論見どおりに進む。バイタルエリアを池田に蓋をされた広島は、前俊の個人技を軸に攻め続けるが、崩しきれずにPAの左右角から放つミドルが多い。それでも前俊は12分、佐野を抜いてPA内に侵入するが美臣がカット、だが再び自ら拾って再び沈むようなドリブルで佐野を抜き去り、PA右角付近に戻した右クロスに森脇がダイレクトで痛烈なボレーを放つ。だがGK前田、正面でキャッチした。
 清水も10番枝村が軸、盛んに前線の選手と入れ替わり、縦に速い攻撃を仕掛ける。15分には前田のゴールキックを真希が頭で逸らすと、岡村が中央で受ける。その間にすーっと左サイドに飛び出した枝村がパスをもらうと、細かい切り返しでPA手前をスライド移動してミドル。だが、威力はGK佐藤の反応範囲内。16分にも、今度は真希が自ら大屋から奪って左から斜めに切れ込み、一度右にステップしてミドルを放つも、これも威力なくGK佐藤。その直後、佐藤が素早くフィード。一旦、左に開いた大屋 (木原?) が受けると、すぐに再び大きく中央へフィード。走り込む平繁、マークする美臣と強引に体を入れ替え、体勢を崩さず、スピードで引き剥がす。GKと1対1、安易に飛び込まないGK前田は平繁の強シュートを弾くが、軌跡を変えきれずにゴール内へと転がった。0-1。清水の目論んでた素早いカウンターで、広島が先制する。

 戦術の変更を強いられた清水。19分に谷野を上埜に代えて攻めに出るが (先制点ではしゃぎすぎた広島・前俊も、足を攣って交代)、逆に22分。裏を狙うパスにPA外へ飛び出したGK前田、しかし勢いのあるクリアを枝村がトラップミス、森脇が奪ってドリブルで突進してシュート。GK前田が弾いたボールをPA内で桒田が粘ってシュートに至るが、右ポストに跳ね返された。それでも攻めるしかない清水は、更に25分に岡村に代えて悠輔を投入。同時に枝村を一列上げ、重心を前に掛ける。すると28分、枝村のパスがカットされたのを佐野が拾い直して即、左サイドに地を走らせるロングフィード。真司が開いて受けると最初のクロスはブロックされるが、自ら拾って再びクロス。DFの頭を擦って勢いが弱まったが、それが上手い具合に真希の下へ。ダイレクトで右足を振るうが、低い弾道はファーに外れ、同点機をふいにした。
 だが、その後は高くなった枝村の位置まで、枝村の代わりにボールを運ぶ選手がいなくなってしまう。真希や上埜が下がって繋ごうとしても上手くいかず、両SBが上がろうとすると、その裏を3トップに狙われる。36分、広島の波状攻撃、クリアボールから桒田が中央突破を仕掛け、素早く数度の切り返しを入れると左にはたく。桒田に清水DFが引き寄せられ、全くのフリーになった平繁。左45度からズドンと大砲をぶっ放し、0-2。
 以後も数を増やした前線までボールが届かないまま、広島の攻撃を受け続け、44分には木原のポストから柏木が左サイドから斜めに走り込み、ミドルはDFのワンタッチあって右CKへ。柏木のキックをファーで合わせられるが枠を外し、GK前田のゴールキックとなる。そのロングキック、CB藤井?に跳ね返されると木原が拾い、SBの上がっていた清水は簡単に数的不利。だが木原はそのままドリブル、切り返しからPA内に突っ込むと見せて急ブレーキ、止まれずに後退した美臣のマークをまんまと外し、ゴール正面からミドルを放った。鮮やかに決まって、0-3。

 試合はそのまま終了。残念ながら先制点を許し、積極的に前に出なくてはいけなくなった時点で事実上、試合は決まっていた。互いに前を向いての撃ち合いでは、勝負にならない。かつての浩太の代のチームがそうだったが、今の広島は全員揃ってテンポの速いダンスを踊るチーム。清水はそれについていけず、足をもつれさせてしまった。特に残り15分、疲労が頂点を迎える時間帯に、それが露呈してしまったように思える。

広島        清水エスパルス
12(6) シュート 4(3) ○枝村、○枝村、○真希、×真希
3(1) 右クロス 3(0) ×谷野、×谷野、×上埜
3(0) 左クロス 2(1) ×岡村、○真司
2(1) 右側CK 0(0)
1(0) 左側CK 0(0)
1(-)  犯OS  4(-) ・真司、・岡村、・真司、・悠輔
9(0) ファウル 11(0) ・池田、・村越、・岡村、・村越、・池田、・村越、・真司、・岡村、・悠輔、・枝村
               ・村越



▼試合結果

清水エスパルスユース 0-3 サンフレッチェ広島F.C.ユース
 得点:後半17分:広島・平繁 龍一 (大屋 翼 ・ロングフィード)
    後半36分:広島・平繁 龍一 (桒田慎一朗・横パス)
    後半44分:広島・木原 正和 (藤井 大輔 ・ロングフィード)
 警告:前半09分:広島・前田 俊介 (ラフプレー)
    前半20分:清水・高野 美臣 (反スポーツ的行為)
    後半08分:清水・池田 康彦 (ラフプレー)
    後半28分:広島・柏木 陽介 (ラフプレー)


▼選手寸評

[私撰MVP]
●池田 康彦 (1年・ボランチ)
 今春の磐田戦ではパスを刈り取られて次々にショートカウンターを許していた選手が、半年経て大きく成長。奪ってからの素早い捌きを心掛けていた。本分のボールを奪う仕事は、動きの質と量の両面で素晴らしく、バイタルエリアに蓋をした。

[私撰MIP]
●村越 大三 (3年・CB)
 最後の試合にも気合十分。自らのゾーンはほぼ完璧に抑えた。躊躇せずに踏み出す半歩の差で、広島のドリブルを積極的に潰し続け、相手の意外性あるショートパスに諦めずに食いついた。大学進学が決まっているそうだが、重用されるだろう。

●桑原 彬 (1年・右SB)
 序盤は判断も遅く、パスも弱く、競り合いにも脆かったが、この試合90分間の中だけでも目に見えて成長。鋭くタックルし、機敏にパスを捌き、機を見て前線に攻め上がるようになった。桑原兄弟は今年、最も伸びた選手の2人だと思う。


[個人的好印象選手 (相手方) ]
 前田 俊介 (3年・FW): 別格。足下に深く入れる巧いドリブルは、体勢を崩さない強さもある。左足ダイレクトに自信。
 柏木 陽介 (2年・DH): 3トップと桒田がマークされる中、彼の巧い飛び出しが変化を与えた。守備でも要所を読める。


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ひかる。 @H.P. [MAIL]

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