2004年05月21日(金) |
クラブ選手権 静岡県予選 ジュビロ磐田戦 前夜の展望 |
決戦前夜まで更新が遅れたのは、仕事が忙しいせいだったり、内容が過激なためだったり。
▼敵を知り… ベストメンバー: 主力離脱の場合: −−−−−−藤井−−岡本−−−−−− −−−−−−石神− 伊藤大 −−−−− −−−−−−−−中村−−−−−−−− −−−−−−−−中村−−−−−−−− −−中島−−上田−−白井−−石神−− −−中島−−徳増−−白井−−増田−− −−−−萩原−−森下−−和田−−−− −−−−飯田−−萩原−−和田−−−− −−−−−−−−八田−−−−−−−− −−−−−−− 伊藤洋 −−−−−−−
清水に一縷の望みが残されているのは、磐田がベストメンバーを揃える可能性がかなり低い点にある。森下が浜名戦 (5/8) の負傷でU-19代表を辞退、藤井がそのU-19代表の中東・マレーシア遠征 (5/9〜) で19日 (水) の帰国、岡本・上田・八田がトップのACLタイ遠征 (5/16〜) に連れられ (岡本・上田が交代出場) 、帰国は20日 (木) になった。17日のマレーシア戦に出場しなかった藤井、比較的疲労の影響しないGKの八田は、無理しようもあるが、そこで2つめの清水の望み。ホンダに5−0で完勝した磐田は、清水に8点差で負けない限り、予選突破できるのだ。去年、全国大会で行く手を阻んだ清水を、静岡の段階で葬りたい意欲は高いだろうが、怪我のリスクを冒すまでのものではないだろう。 システムは3−4−1−2。02年磐田完全優勝の際に、名波が離脱して藤田がトップ下入った時のシステムに似ているが、99-01年における清水にも似通っている。藤田同様、運動量豊富なトップ下の中村が、盛んに2トップの創ったスペースに飛び込む。ベスト布陣でも主力が離脱した場合でも、彼がキーマンになるだろう。かなり左右に張った両サイドにドリブラーを置き、試合を創る役割はボランチの2枚、もしくはセンターライン付近までリベロが持ち上がって担当している。
▼己を知れば… 一方、ホンダ戦で1−4の大敗を喫した清水エスパルス。その敗因に怪我人があることは間違いない。司令塔枝村、エース悠輔、正GK前田、DFリーダー村越が長期離脱。上の磐田のベストメンバーで言えば、上田・岡本・八田・森下が抜けたようなものだ。更にホンダ戦では、U-19代表遠征の真希に加え、切込隊長の真司、第3の司令塔の池田まで疲労を考えてか、先発から外した。例え磐田でも、中村・藤井・徳増まで外しては、苦戦も免れまい。 とはいえ、それでも磐田なら負けはしなかったはずだ。この試合、筆者は観戦していないが、前々から幾つかの問題点が気になっていた。わざわざ清水エスパルスユースの応援HPで弱点を晒す必要もあるまいと、今までは触れなかったが、今度の磐田戦、そして6月12日に再開されるプリンス東海では修正されるものと信じて、敢えて言及したい。
一つ目は、システム上の問題。築館監督はドリブラーを左右のサイドハーフに配する傾向が強く、実際、プリンス東海では一也と岡村が、ホンダ戦では小泉と岡村がそれを務めた。彼ら自身の技量について疑問を呈するわけではない。ただ、彼らはドリブラー、サイドに広く張って孤立された状態から1対1を挑み、前に向かってこそ威力を発揮する選手。そのため、システム上、4−2−4に近くなってしまい、相手の運動量が衰えない前半は特に、ダブルボランチへの負担が莫大なものになっている。U-19代表の真希の能力に加え、絶妙のポジショニング感覚を持つ岩本が機を見て前に上がることで、プリンス東海では急場を凌いできた。が、真希 (と池田) が抜け、岩本が集中力を欠いたホンダ戦で、遂に破綻してしまったのである。 二つ目に、築館監督の采配能力である。誤解ないように言っておくが、私は築館監督の育成能力は高く評価している。阿部のプレー幅を広げ、枝村の流動性を増し、真希を希代のボランチに育てた実績が、それを物語っている。公式戦に大胆に下級生を起用する勇気もある。だが、采配には疑問が残るのだ。昨年、清水は2大会で決勝の舞台の一つ前で退くことになったが、これは偶然ではない。クラブ選手権浦和戦では、ただでさえ村越と真司を欠いたにも関わらず、1年生5人を先発させ、組織に混乱をもたらした。翌日の決勝戦を睨んで主力の疲労を考慮したのかもしれないが、大事なのは決勝ではなく、目の前の試合だったはずだ。Jユース杯市原戦では、途中雄也を投入して慣れないパワープレーに切り替えたが、機能しないまま続行したままPK戦に持ち込まれてしまった。さて、今回のホンダ戦、その過ちを二重に犯している。真希が代表で抜けたにも関わらず、主力の真司・池田まで外した。後半、石垣をFWに上げてパワープレーに切り替えると、逆に決定的な4失点目を喫した。1−3のままならば、得失点差の関係で磐田に1点差でも勝ちさえすればよく、条件が大幅に緩和されたのだ。 とはいえ、問題は戦術・采配だけではない。プレーするのが選手である以上、最後は彼ら自身の問題に辿り着く。昨年のJrユースは、静学・藤枝東・清商といった県内強豪高の1年生チーム (現2年) 相手に、無敗だったチーム。選手の資質に問題があったとは思えない。やはり、モチベーションに問題があったと見るべきであろう。既にホンダは磐田に負けていたため、ホンダ戦は勝てば予選通過が決まる、磐田戦以上に大事な試合だったのだが、そうした意識があっただろうか。
▼百戦危うからず…? 怪我人の状況だが、GW前後から別メニューながら、かなりの練習をこなしていた前田・村越・悠輔は、無理ができると思いたい。無理はしないのが一番なのだが、残念ながら無理をしなければならない状況に追い込まれている。特に絶対の決定力でゴールを量産していた悠輔は、何としても戻ってきてほしい。ただ無理を「しない」のではなく、「できない」のであれば、当然出場は回避すべきだ。11日間にわたるU-19代表遠征から19日 (水) に戻ってきた真希は、体調との相談だが、無理「できない」と考えるべきだろう。 以下は、あくまで筆者の考えである。築館監督の戦術との関連性は低く、実際に採用される可能性はゼロに等しい。ただ、随分と偉そうに批判意見を繰り返してきたわけだから、私自身も結果が出る前に自分の意見を表明しておきたい。( ) 内は怪我人が戻ってこれなかった時のメンバー。
−−−−− 篠田悠 −長沢−−−−−− (鈴木真) − 鈴木真 −−−−−−−−−谷野−− (岡村) −−−−−−池田−−上埜−−−−−−
− 佐野克 −岩本−−石垣−−村越−− 交代:後半00分:長沢 →岡村 (鈴木真をFW、岡村を左SHに) (高野美) 後半10分:上埜 →小泉 (谷野をCH、小泉を右SHに) −−−−−−−−前田−−−−−−−− 後半20分:鈴木真→町田 (そのままFWに) (風間) 後半30分:石垣 →桑原卓 (佐野克をCB、桑原卓を左SHに) 控え:風間、高野美、桑原卓、山本真、岡村、小泉、町田
クラブ選手権本大会の規定が、18名ベンチ入り+4名交代なので、その条件で考えている。それでは、後ろのポジションから見ていこう。GKは怪我の具合次第だが前田。4バックに右から村越・石垣・岩本・佐野と、CBを (も) 本職とする4人を並べたい。磐田のシステムは2トップ+トップ下で前線に3人。数的有利で守るのが鉄則なのだから、4バックで確実に守るべきであろう。プリンス東海で活躍した桑卓は、GWにも休まず中日本に出場したこともあり、疲労が蓄積されてるように見える (石垣に次ぐ2番目の出場時間) 。村越・石垣・佐野をストッパーに岩本が余る格好で、流動的な磐田の攻撃に対応するのが基本。鍵を握るのは池田と石垣・岩本の間で、如何に上手く中村のマークを受け渡すかだ。 中盤は右の谷野がポイント。前述した通り、先発から両サイドにドリブラーを配するシステムは、両ボランチへの負担が大きすぎる。昨年の大瀧が盛んに中央に入ってボランチを助けたように、右に谷野を置いて上埜と入れ替わりながら、バイタルエリアにスペースを渡さないようにする。池田が上がり気味の真司の裏をカバーし、少しずつ左にズレる格好で守る。その左の真司が突破口。磐田右WBを押し込んで、右CBを誘い出す役目を担う。長沢が中盤に下がってポストに入る動きで左CBを誘い出せば、悠輔がPA内で相手リベロ相手と1対1の駆け引きできる。彼はPA内で前を向けば、確実にゴールを決められる選手、期待に応えられる「エース」だ。
交代の狙いは2つある。1つはポジションチェンジを含めて前線を次々に入れ替えることで、相手に守備の基準点を絞らせないこと。提案した選手交代では、FWが4人、左右のサイドハーフがそれぞれ2名ずつ入れ替わる。今年は例年に比べ飛び抜けた選手は少ないが、その分、層が厚い。その特長を最大限に活かすべきだろう。2つ目にスピードのある選手を投入すること。ドリブラーばかりだとボランチが孤立すしやすいという戦術的欠陥を批判したが、疲労で選手間の距離が開く後半になれば、ボランチが相手のプレスに囲まれる危険は低くなる。その状況ならば、築館監督が好む両サイドからドリブルで崩す戦術も機能するし、事実、プリンス東海では前半より後半の方が優位に試合を進めてきた (4試合シュート総数:前半14/後半27) 。また、村越・悠輔・前田らが復帰するならば、怪我の再発に細心の注意を払い、交代が必要か見極めなければならない。 なお、筆者はパワープレーについて、懐疑的である。結果が出ていないこともあるが、そもそも清水エスパルスユースのサッカーは、中盤で優位に立つサッカーのはずだ。慣れない戦術で偶然を待つよりも、SBやボランチを攻撃的な選手に切り替え、親しんだ戦術を前掛かりにして特攻を仕掛けた方がいい。一方、ミッションコンプリートしていれば無理する必要はなく、攻められているサイドに美臣を入れて立ち直したりすればよかろう。なお、真希のベンチ入りは基本的に張り子の虎である。 色々書いてきたが、最後に勝敗を決するのは精神面だ。けれども、モチベーションの危惧はしていない。今がどんな状況なのか、選手は十分に理解しているだろう。ただ理解しているならば、意識して声を出してもらいたい。むしろ不安は焦り。確かにこの試合は、クラブ選手権敗退という大きなものが懸かっている。だが、ノルマである2−0というスコアは、決して背水の陣を布くほどではない。まず守備、そして中盤でボールを回して隙を探し、FWがそれを突く。オーソドックスなサッカーを展開し、機能すれば、十分に実現可能なスコアだ。また、先制されても焦る必要はない。ある意味、3失点以上すれば、2点差が必要なくなるのだ (4得点以上で勝てば、得点数で清水勝ち抜け) 。選手には昨年、0−3から同点に追いついて予選勝ち抜けを決めたJユースカップ柏戦を思い出し、ポジティブな気持ちで試合に臨んでほしいと思う。
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