2003年12月24日(水) |
JY: 高円宮杯 全国大会 FC東京戦 |
03年12月24日14:00開始 新横浜国際総合競技場 高円宮杯 第15回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会 決勝トーナメント1回戦 対 FC東京U-15 ※35分ハーフ 天候:晴、観客数:488人
▼布陣 −−−−−−町田−−長沢−−−−−−
− 杉山和 −−−−−−−−−小泉−−
−−−−−−神田−−池田−−−−−−
− 桑原卓 −佐野−−岩本−−渥美−−
−−−−−−− 山崎晃 −−−−−−−
控え:吉田、桑原彬、田村、小出、滝戸、望月雄、山崎竜 交代:後半18分:小泉→田村(そのまま右MFに)
FC東京U-15:
−−−−−−蓮見−−蛯原−−−−−−
−−−−−−−−萩原−−−−−−−−
−−−−寺島−−中野−−稲葉−−−−
−−森村−−近藤−−高橋−−椋原−−
−−−−−−−−権田−−−−−−−−
交代:後半00分:蓮見→山同、後半20分:蛯原→岡田、後半30分:寺島→大竹 後半35分:山同→吉本
▼試合展開 中学生年代における静岡−東京の対決は、南葛中−東邦中以来の伝統を持つ一戦である(笑)。この学年の清水エスパルスとFC東京の対決としては、ナイキプレミアカップが初顔合わせとなった。その試合は0−1での惜敗ではあったが、清水は「展開が遅く、バリエーションに欠ける。最後はロングボールで放り込むだけ」と、内容面で酷評を受けることになった。その後、冬のジュビロカップでも一度対決し、そこでも0−1で敗北。そして、F東京のこの学年は、その後、公式戦では正規の時間内では一度も負けてないという(未確認)、伝説的なチームに成長している。夏のクラブ選手権では、再戦の一つ前(準決勝)で敗退した清水、遂に待ち望んだリベンジの機会が到来した。 清水は、予選リーグで温存されていた佐野・池田、札幌戦で出場停止を消化した岩本が復帰し、ベストメンバーを組んだ。一方のF東京は、主将であり、U-15代表の主軸の吉本が怪我のため、漸くベンチに復帰したところ。名古屋の吉田に続き、長沢とこの学年を代表するCBとの対決は、先送りとなった。だが、このエリートチームで2年生ながら先発を掴んだ、杉山和と椋原の対決は、注目だろう。 しかし、1年半前のナイキカップに比べ、清水は4名、F東京は3名の選手が、スタメンを入れ替わっている。両チームの層の厚さ、如何ばかりか。
[前半] 寸評:前日とは見違える動きを見せる清水が、試合の機先を制す。サイド攻撃という決まった形のある清水は、両ボランチの展開力と長沢の確かなポストを起点として、次々と好機を創り出す。特に右サイド、小泉のキレは、歴戦のF東京DFすら振り回し、渥美も積極的な動きでそれを支援した。だが、トレスボランチ、特に体を張る稲葉と巧みな足技でプレスをいなす中野を軸に、次第にF東京も反攻。逆に清水の右サイドを、森村が狙うようになる。前半の後半からは、ペースは完全に拮抗し、PAの周囲で激しい潰し合いが展開された。だが、中学生年代とは思えないほどレベルの高い試合は、例えゴール前の場面は少なくとも、観客を飽きさせることはなかった。
FC東京 清水エスパルス 3(1) シュート 7(3) ×長沢、○長沢、○桑卓、○町田、×池田、×池田、×小泉 3(2) 右クロス 8(2) ×小泉、×小泉、○渥美、×渥美、○小泉、×小泉、×渥美、×小泉 4(0) 左クロス 5(1) ○町田、×佐野、×杉和、×池田、×桑卓 3(1) 右側CK 1(0) ×池田 0(0) 左側CK 2(0) ×池田、×池田 1(−) 犯OS 0(−) 8(1) ファウル 6(1) ・杉和、×渥美、・杉和、・長沢、・町田、・渥美
[後半]
(後半開始早々、右サイドからの攻撃をクリアされるが、セカンドボールを競り合う池田。攻撃の枚数が、この試合に対する意気込みを物語る。CBの岩本も、ラインを相手陣内にまで押し上げた)
(25分、池田の左CKを岩本・田村がニアで潰れながら中央に流したが、味方選手に繋がる前にクリアされる)
31分:セカンドボールを右MFの田村が中央に絞って拾うと、体を寄せられながらも反転して、左へ展開。杉山和が加速しながら受けるが、F東京(椋原?)が進路を塞いでドリブルをブロックする。が、そこに杉山和と連動して動き出していた桑原卓が詰め寄り、勢いのままに再奪取。すぐさま左に叩くと、動き直していた杉山和が、フリーで裏に抜け、左サイドを十分に抉った。満を持して上げたマイナスの高速クロスに、我先にと駆け込む町田・長沢・池田。味方との競走に勝った町田が、速度を緩めてニアで右足をアウトで合わせ、遂に均衡破れる。1−0。
(チーム全員で喜びを爆発させた清水の選手が、急ぎ自陣に戻る。喜びの輪に参加できないGKの山崎晃が、少し可哀想だ(苦笑))
寸評:前半の後半以上に、拮抗した内容。体力の消耗に伴い、徐々に中盤にスペースが空き出すのだが、それ以上に両軍の集中力が上回り、清水の場合、5分の杉山和のシュート以降、26分間も次のシュートが生まれなかった。互いに攻撃の起点を作れない中、清水は田村の投入と桑原卓の攻撃参加によって、なおもサイド攻撃に拘り、一方のF東京は、前線の豊富な駒を入れ替えて、打開を図る。すると、31分、清水はターンオーバーから凄まじい展開の速さと厚みにおいて、遂にF東京の牙城を崩した。F東京は最後、怪我に泣いた主将の吉本を前線に入れるが、むしろ焦りから清水にカウンターを許してしまい、一歩及ばず。激戦を制したのは、清水の判断の速さだった。 ペリマンの言葉だったか、「ダンスは一人では踊れない」というものがある。素晴らしい試合を見せるには、素晴らしい相手(ペア)が必要だ、という意味だ。これだけの試合が見られたのも、F東京が素晴らしいチームだったから。次のヴェルディも強敵だが、F東京のためにも、必ず頂点に立ってもらいたい。
FC東京 清水エスパルス 5(1) シュート 4(1) ×長沢、×杉和、◎町田、×田村 3(0) 右クロス 3(1) ○渥美、×渥美、×田村 2(0) 左クロス 2(2) ○杉和、◎杉和 1(1) 右側CK 1(0) ×池田 1(0) 左側CK 1(0) ×池田 4(−) 犯OS 3(−) ・町田、・町田、・長沢 5(0) ファウル 6(1) ・神田、・杉和、・小泉、×池田、・桑卓、・渥美
▼試合結果 清水エスパルスジュニアユース 1−0 FC東京U-15 得点:後半31分:清水 ・町田朋弥(杉山和毅・左クロス) 警告:後半16分:清水 ・小泉慶治(ラフプレイ) 後半29分:F東京・寺島尚彦(ラフプレイ)
▼選手寸評 [私撰MVP] ●佐野克彦 70分間出場:クロス1(左1) 空中戦の強さは言うに及ばず、高い身体能力と巧みな体捌きで、F東京の地上突破を次々と潰す。岩本の支援を受け、正に鉄壁。桑原卓を自由に攻めさせながら、その左サイドのカバーも実にお見事だった。
[私撰MIP] ●杉山和毅 70分間出場:アシスト1、シュート1、クロス3(左3、成功2) 荒削りながら、中2にして既に、ドリブル突破からのクロスの自分の形を築いている選手。動き出しの修正も怠ることなく、微妙に変化を付ける桑原卓のキックの真価を、十分に引き出した。
●池田康彦 70分間出場:シュート2、クロス1(左1) 燻し銀。F東京の巧緻なトップ下に正対し、判断と運動量で起点を作らせなかった。キープと展開の使い分けにも長け、同じく技術と運動量を兼備する神田とのコンビは、安定感があった。
[個人的好印象選手(相手方)] 中野遼太郎(中3):高いキープ力で清水序盤の攻勢を徐々に沈静化、しぶとく反攻の機会を創出した。 権田修一(中3):圧倒的な身体能力で清水のクロスを次々と撃沈。正確なキックで攻撃の起点にも。
ここの挙げなかった選手でも、非常にレベルの高い試合ながら、そのレベルに相応しくない選手は全くいなかった。唯一、気持ちが空回りしてるかに思えた町田だが、その彼が決勝点を奪うのだから、分からないものである。同時に、身体的には未完成の選手が多く、両軍の選手の将来を、否応なく期待してしまう試合だった。
なお、FC東京サポのFCサンタさんが、素晴らしい観戦記を書かれてますので、合わせてどうぞ。
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