クラブユース選手権・全国大会の展望記事も、併せて参照にされたい。
清水エスパルスユース
クラブユース第一代表[静岡県] 監督・行徳浩二
6試合25得点0失点。 得点した選手は8名に上り、レギュラー陣の中盤より前の選手は、全員得点。 やはりベストメンバーでの試合は、とんでもなく強かった。文句の付けようのない数字でクラブ王者となったエスパルスユースは、当然ながら高円宮杯も優勝を狙うことになる。
その最大の武器は、よく言われる華麗なテクニックではなく、凄まじい判断速度と徹底した選手間の共通理解にある。数タッチで繋ぐテクニックと、スペースを考えた質の高い動き出しが有機的に創出され、相手チームは清水のハイテンポのボール回しに巻き込まれて調子を崩し、真綿で締め付けられるように封殺された。
今大会は、かなり楽な組に割り振られたいって良い。 高校勢の強豪である国見・市立船橋・東福岡、クラブユース勢も実力の高さを伺わせた浦和・ヴェルディが反対の山に割り当てられ、決勝まで顔を合わせることはなくなった。 地理的にも、松本は清水に近く、21-22日と遠征していた中日本ユーススーパーリーグの舞台である菅平から直行できるなど、有利な点も多い。 だが、清水の側にも課題がないわけではない。
一つに、クラブユース選手権決勝で露呈した、左サイドの守備。 左MFの候補となる大瀧・鈴木は共に守備に長けたタイプではなく、左SBの候補となる森安・篠田も、身体能力か判断力かを重んじるかで一長一短がある。高校勢は、リスクを避けてサイドで勝負する傾向があり、また与えられた命題を貫き通す精神力を身に付けているだけに、弱点の補強はしておきたい。
また、選手の疲労も懸念材料となる。 特に精神的支柱でもある杉山浩太は、クラセン直前のU-17代表の試合に始まり、クラブユース選手権を経た後も、静岡選抜からU-19日本代表まで、東奔西走している。クラブユース選手権では森安・鈴木・山本真らが交代で試され、森安が先発の座を掴むに至るなど一定の成果を上げたが、追い風参考のような試合も多く、果たして先発の顔ぶれが変わっても、前述の独特のリズムが有機的に創出されるかは、未知数に近い。幸か不幸か代表や県選抜に選ばれている選手は少ないので、仁科や渡邊といった特に動きの質に秀でた選手が、万全の状態で臨めるのは、好材料である。
最後に、優勝へのプレッシャー。 楽な組に入ったことで、決勝までは進んで当然という雰囲気が出てしまっては危うい。波乱続きの大会となった今年のクラブユース選手権では、最後に残った優勝候補として使命を達成したが、今大会も強い意志を持って戦うことを、期待している。
■選手名簿 こちらを参照のこと。 今年のユースは25名で大会登録も25名なのだが、GK勝又とFW杉崎が外れ、ジュニアユースからGK前田とMF山本真が入っている。 また、今大会は欠番が許されないようで、1番に前田が入ったほか、普段は26番を付けている鈴木が12番に変わっている。 #しかし、背番号1と2が中学生とは…(苦笑) 選手の詳細は、こちら(3年生、2年生、1年生)
■予想フォーメーション(名前の横は学年)
−−−−−−−−−仁科克英3−−−阿部文一朗2−−−−−−−−
−大瀧義史2−−−枝村匠馬1−−−杉山浩太3−−−杉山拓也3−
−森安洋文2−−−高山純一3−−−渡邊優希3−−−天野数士3−
−−−−−−−−−−−−−山本海人2−−−−−−−−−−−−−
■チームプロフィール ※前回(クラブユース選手権)記事を参照方。
■注目選手 ●杉山 拓也 1984.11.10生 [180cm/65kg] 決勝戦で屈辱の前半交代。確かにキックの精度に難があるため、外に開いてクロスを上げる展開を苦手にしているのは事実だが、中に切れ込む局面打開能力はチーム随一のものがある。試合巧者の高校勢に消耗戦に持ち込まれた時には、彼の突破力を生かせるはずだ。天野との連携は、攻守両面で高い成熟度を誇る。
●大瀧 義史 1985.05.05生 [165cm/57kg] 「精妙なセンタリング」だけでなく、シュート・スルーパス・アーリークロス・サイドチェンジなどなど、正確無比・緩急自在で豊富な球種を誇る。浩太が不調ならば、変化を付けるのは彼になるだろう。決勝戦で脆さを見せた守備面で改善が見られるかは、特に渡邊と対峙するであろう国見戦では、大きな鍵を握る。
●枝村 匠馬 1986.11.16生 [175cm/65kg] 杉山浩太の副官として、潰し・溜め・繋ぎという渋い仕事で、立派に補佐役を成し遂げた。今大会での注目は、補佐役だけでなく、司令塔として前面に出た時の動きとなる。得意のボールをワイドに動かす展開力と同時に、3列目から大胆にPA内に飛び込んだ得点場面を再現できれば、須藤氏も見捨ててはおけまい。
■出場までの軌跡 [クラブユース選手権・グループリーグ] 第1戦:2−0 V神戸 (兵庫) 得点:仁科、大瀧 第2戦:5−0 愛媛FC(大阪) 得点:阿部、仁科2、高山、杉山拓 第3戦:4−0 C大阪 (静岡) 得点:阿部、大瀧2、杉山浩
[クラブユース選手権・決勝トーナメント] 1回戦:5−0 塩釜FC(宮城) 得点:阿部、仁科、杉山浩、高山、鈴木 準決勝:8−0 名古屋G(愛知) 得点:阿部4、仁科、杉山浩、枝村、OG 決勝戦:1−0 浦和R (埼玉) 得点:大瀧
通算得点:阿部7、仁科5、大瀧4、杉山浩3、高山2、杉山拓、鈴木、枝村 1試合得点占有率累計(例えば名古屋戦の阿部は4点を稼いだがチームが8得点なので50%、逆に決勝戦の大瀧は1点だけだが唯一の決勝点なので100%と数える。その累計): 大瀧200.0、仁科122.5、阿部115.0、杉山浩 57.5、高山 40.0、杉山拓 20.0、鈴木 20.0、 枝村 12.5
■出身現役Jリーガー ※前回(クラブユース選手権)記事を参照方。 サカダイ様、和田雄三(大分)も、お忘れなく(苦笑)。
■試合日程 1回戦 8月24日(土)16:00- 松本 対 仙台育英高校 2回戦 8月25日(日)17:00- 松本 対 名古屋Y/星稜高校 準決勝 8月30日(金)16:30- 西が丘 対 札幌Y/室蘭大谷/金光大阪/ルーテル学院 決勝戦 9月01日(日)14:30- 国立 対 国見/市船/東福岡/浦和Y/ヴェルディ 他
松本平広域公園総合球技場 0263-57-2211 長野県松本市今井3443 JISS西が丘サッカー場 03-5963-0203 東京都北区西が丘3-15-1 国立霞ヶ丘競技場 03-3403-1151 東京都新宿区霞ヶ丘町10
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