2002年08月03日(土) |
クラブ選手権 全国大会 名古屋グランパス戦 |
02年08月03日14:00開始 第26回日本クラブユース選手権(U-18)大会 全国大会 準決勝 対 名古屋グランパスエイトユース
▼布陣 −−−−−−仁科−−阿部−−−−−−
−−大瀧−−−−−−−−− 杉山拓 −
−−−−−−枝村− 杉山浩 −−−−−
−−森安−−高山−−渡邊−−天野−−
−−−−−−− 山本海 −−−−−−−
控え:風間、高柳、小林、篠田、山本真、岡村、鈴木真 交代:後半08分:杉山拓→山本真(そのまま右MFへ) 後半21分:渡邊 →篠田 (森安をCB、篠田を左SBへ) 後半27分:阿部 →鈴木 (そのままFWに) 後半30分:仁科 →小林 (山本真をFW、天野を右MF、小林を右SBに)
名古屋グランパスエイトユース: −−−−−−−−津田−−−−−−−−
−−永芳−−高橋−−遠藤−−上原−−
−−−−−−−−森賢−−−−−−−−
−−深谷−−鈴木−−小寺−−富岡−−
−−−−−−−−森真−−−−−−−−
交代:後半00分:永芳→小出、11分:高橋→平林、31分:遠藤→日下
相変わらず3バックとも、4バックとも、5バックとも見える不思議な布陣。FWも1トップとも、3トップとも言えそう。何だか哲学的。簡単に説明すれば、守備時には鈴木が余り、森賢一と小寺が2トップを、SBがアウトサイドMFを厳しくマークする。だが、攻撃時には森は上がり、SBも交互にかなり高い位置まで攻めるので、最終ラインは3人しか残らない。また攻撃時には、2列目アウトサイドの位置が高いので、3トップにも見えます。 それにしても、1年生が多い。神丸は大会緒戦で怪我、諸江は愛知の試合で怪我しているようですが、平林・北本・森敬史・森美棋といった選手は、どうしたのでしょうか?
▼試合展開 残業明けで、いきなり寝坊した筆者。支度に手間取り、大慌てで特急スーパーひたちに乗り込むと、信号機故障。20分以上遅れる電車。いわき駅で乗り換え待ち時間が19分もあることに憤慨する必要は、なかったようです。結局、いわき発のローカル線は、特急が到着するのを5分以上待って、発車。十数人の特急客のために、百人近い地元乗客が待たされたわけですが、金を多く支払っている人を優先するのは、資本主義の原理なのでしょう。それに怒らない福島県民は大人です。車内の床に座り込む若者はいますけど。 一方、既に始まっていた試合では前半8分、名古屋のセットプレーを清水DFがクリアミス、ゴールネットを揺らすもPA内のファウルで得点を取り消されたりしてたとか。何も知らぬ筆者は、その頃タクシーの中。急いでも「釣りは要らねえ」とは言えない小市民な筆者は、小銭をもらいながら会場へ。
[前半] 息を切らせながら筆者が辿り着くと、いきなり歓声。14分、浩太のスルーパスで抜け出した拓也が、右サイドをペネトレイトし、細かく折り返したボールを、ニアで仁科が右足を軽く合わせ、先制したらしい。1−0。筆者の到着を歓迎してくれたのかと勘違いしたくなりますが、やはり先制場面は落ち着いて見たかったところ。あと数十秒早ければ…、が本音。あ、つまり、釣りを受け取らず、ダッシュで駆けつければ良かったのか(苦笑)。 その後、20分、攻め上がった天野が戻したボールを、拓也が受けて中に切れ込む。仁科に渡すと、仁科がヒールで超技巧的ワンツーリターン。拓也のシュートは、GKに。22分、仁科が中盤でパスをカットし、素早く前線にスルーパスを送り込む。そこに走り込む阿部、パスはDFに当たり軌道が変わるも、方向転換するクイックネスは阿部の方が上。一気にDFを置き去りにするが、シュートはGKに弾かれる。これにも阿部が敏活に反応、追いついたDFを再び速さで振り回してコースを空けさせると、豪快にサイドネットに突き刺す。2−0。 25分、自陣深くから森安が左足アウトで巧みにスルーパス、またも阿部が抜け出し、角度のない位置から強引にシュートに行くが、バーを掠ってゴールならず。30分、給水休憩を挟み集中力を欠いた名古屋を、浩太が見逃さず奪取、加速するかと見せて一気に阿部へスルーパス。抜け出てシュートはGKに当たると、またまたクロスバー。真下に跳ね返ったボールは、名古屋DFがライン上で必死に掻き出す。32分、左の展開に近づいてポストに入った仁科、右に流すと中に入った拓也が受け、そのまま中央突破、と見せて、飛び出した浩太へスルーパス。ウェーブの動きでDFを外すと、的確にパスの勢いを殺し、ニアを精密に破る。3−0。右手を突き上げる浩太、さすがスターダムの似合う男。やはり王子様(笑)。
34分、ポストに入った仁科の、鋭いサイドチェンジをDFがカットし、CKへ。大瀧の右CKを飛び出したGKパンチング、のはずが掠り、次の瞬間、ネットが揺れる。しかし、狐に包まれたような観客(とエスパイレブン)。GKのオウンゴール(しかもパンチ)ですか? 4−0。残念ながら、これで完全に試合としての緊張感は、喪失した。以後、個人技主体の展開へ。 36分、拓也の縦パスに飛び出したのは枝村、仁科とのワンツーを受けシュート、DFに当たり左へ流れると、詰めた大瀧がシュート。今度こそGK、パンチング成功。39分、浩太のクイックリスタートは相手に当たり失敗するが、素早く渡邊がフォロー、拓也から浩太が中央突破、パスを阿部がポストに入り、流して仁科シュートも左に。直後、一気にゴール前まで攻め立てた名古屋に対し、浩太がパスカット、ハイボールでクリアすると着地地点で阿部が、一度止まり、マークを押さえつけ、直後ダッシュ。これだけでDFを置き去りにする凄まじい身体能力を見せつけ、独走でPA内へ突入、後追いのDFに引き倒されたがノーファウル。そして、そのまま前半を終えた。
[後半] 後半開始後も、流れは清水。開始いきなり1分、相手の最終ラインのパス回しに対し、大瀧が食らい付き、カット。縦に突破すると、低いセンタリングを阿部が頭から突っ込み、ブンらしい得点。5−0。12分、サイドチェンジを真希が受けると縦へ。入ったタックルを交わして抜け出し、今度は右からの低いセンタリングは、ニアで潰れた阿部の裏で、中央、ダイビングヘッドに行ったのは、飛び出してきた枝村。エディーらしい、大きな展開からの得点は、彼の大会初ゴール。6−0。 15分、浩太が浮き球で出した芸術的スルーパスに、一番で反応したのは、やはり阿部。最初のシュートチャンスをトラップミスで逃すが、寄せてきたDFを力で突き放すと、シュート体勢に入った阿部を、たまらずDFが引き倒す。PKを本人が決め、7−0。18分、大瀧がまたまた相手ボール回しをカット、サイドに流れた阿部が受けて折り返すが、DFカット。大瀧の右CK、ニアの阿部がGKと森賢一を押し倒す、高くて強いヘッドで、8−0。 こうして、怒濤の20分間が過ぎ去った。
23分、浩太が平林のドリブルを潰すと、スルーパス。飛び出した枝村は一度仁科に戻し、左の大瀧へ展開。センタリングは、GKが飛びついてキャッチ。28分、浩太のスルーパスが今度は鈴木へ。鈴木は鋭くターンして大瀧へ。大瀧はPA内で粘って溜めながら、最後は戻して篠田がミドルを放つが、枠の上。31分、天野が得意の曲芸師的浮き球リフティングで突破、センタリングを鈴木が左足つま先でコースを変えるファンタジーを発揮するが、反応したGKが外へ弾く。 35分、浩太のパスに真司が足首だけでトリッキーに軌道を変えると、天野がキープ。小林が上がってマークがズレると、センタリングを大瀧がトラップ、シュートは右へ。その後、終了間際に必ず元気になる(爆)浩太が、縦に勝負してDFを交わし、シュートに行くがバー、跳ね返りをダイレクトで回して最後は枝村が打つも、枠の上へ。 これにて試合終了。
準決勝と思えないスコアでの快勝だが、8−0は自分たちが強いだけの結論ではない。名古屋の最終ラインは意思統一も集中もできておらず、浩太に簡単にスペースを使われ、そして、それだけで崩されてしまった。しかし、それが決勝という緊迫した試合でも可能かと問われれば、否であろう。大勝後の次の試合は難しい、というのは通説だが、気を持ち直して残り1試合、全力でぶつかってほしい。
▼試合結果 清水エスパルスユース 8−0 名古屋グランパスエイトユース 得点:前半14分:仁科 克英(杉山拓也・ショートパス) 前半22分:阿部文一朗(仁科克英・スルーパス) 前半32分:杉山 浩太(杉山拓也・スルーパス) 前半34分:オウンゴール 後半01分:阿部文一朗(大瀧義史・スルーパス) 後半12分:枝村 匠馬(山本真希・右クロス) 後半15分:阿部文一朗(PK) 後半18分:阿部文一朗(大瀧義史・右CK)
▼選手寸評 山本海人 6.5 眠りそうな頃に訪れるピンチも、きっちり抑え切った。
天野数士 6.0 個人技の高さは証明するも、ミスで空回りし、自分の形を貫徹できず。 渡邊優希 7.5 敏速なカバーリングに加え、強さを会得、決定機の一つ前を潰す。 高山純一 7.0 渡邊とは広範囲をつぶさにカバー、森安とは相互にフィジカルを発揮。 森安洋文 6.5 高い身体能力で清水に違う色を持ち込む。CBではややズレる場面も。
杉山拓也 7.0 自らの形を貫き、鋭い切れ込みと高い連動性で、外から中で仕事する。 杉山浩太 7.5 これほどスルーパスを通すとは。判断の速さが飛び抜けている。 枝村匠馬 7.0 対空戦を中心に守備で強さを発揮。力強い飛び出しも繰り返し見せた。 大瀧義史 7.0 単純なミスもあったが、豊富な運動量で攻守の機会を増やし、貢献。
仁科克英 6.5 中盤に下がってのポストの動きは卓絶。FWの仕事は物足りなかった。 阿部文一朗 8.0 強さ・高さ・速さの全ての面で、高い身体能力を発揮しての4得点。
山本真希 6.5 強さと速さで右サイドを跋扈。基礎の完成された正確なパスも光る。 篠田大輔 5.5 守備は粘りを見せたが、攻撃においてミスが多い。右足も使えないと。 鈴木真司 6.5 絡む回数は不満だが、豊富なスペースを得て左足トリックの魅力全開。 小林拓矢 5.5 水準レベルの守備は見せたが、攻撃は遠慮がちで物足りなかった。
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