2002年04月28日(日) |
クラブ選手権 静岡県予選 ジュビロ磐田戦 |
02年04月28日14:03開始 ジュビロ豊田町グラウンド 日本クラブユース選手権(U-18)大会 静岡県予選 対 ジュビロ磐田ユース
▼布陣 先発: 終了間際:
−−−−− 鈴木真 −阿部−−−−−− −−−−− 山本真 −阿部−−−−−−
−−大瀧−−−−−−−−−−枝村−− −−岡村−−−−−−−−−−枝村−−
−−−−− 杉山浩−山本真 −−−−− −−−−−−大瀧− 杉山浩 −−−−−
−−篠田−−高山−−森安− 杉山拓 − −−篠田−−高山−−森安− 杉山拓 −
−−−−−−−−風間−−−−−−−− −−−−−−−−風間−−−−−−−−
交代:後半16分:鈴木→岡村(そのまま左SHに)
ジュビロ磐田ユース:
−−−−−−神谷−−中林−−−−−−
−−−−大杉−−−−−−沼野−−−−
−−−−−−渥美−−岩本−−−−−−
−−橋本−−榎本−−峰村−−荻原−− 交代:後半00分:中林→笹垣 −−−−−−−−細田−−−−−−−− 後半33分:榎本→坂本
▼試合展開 静岡西部は、私の出身地。だから、土地の実情は、よく分かっている。車社会だということも、良く分かっている。だが、それにしても、元気のない地元商店街。歩いてグラウンドに行くまで「ジュビロード」を通ったが、何人の歩行者がいただろう。「W杯日本代表キャンプ特需」を期待しているようだが、恐らく代表は完全非公開。よしんば公開されファンが殺到したとしても、あの商店街に金を落とすとは思えない。静岡西部は工業の町。商店街に明るい兆しは見られない。 さて、1ヶ月前の中日本ユースリーグでは、1−1の痛み分け。その時の清水は、浩太・阿部・大瀧を静岡選抜の遠征・練習で欠き、篠田も出場しなかった。今回は彼らが復帰したものの、今度は仁科と渡邊を欠いていた(帯同メンバーにも不在)。天野は帯同していたが、出場せず。中学生・山本真希がボランチに入った。 一方の磐田はU-16代表の遠征で、主力の早生まれ2年生・船谷の他、有望1年生を大幅に欠いた。怪我人多発のGKを含め、ベストからは数段落ちる陣容である。
[前半] 静岡ダービーという意識、何よりも静岡を1位抜けすれば、東海予選で名古屋と当たらずに全国切符を獲得できることもあって、立ち上がり、特に磐田に固さが見られた。勢いは清水。開始3分に中学生・山本真希が奪取から素早く繋ぎ、阿部がダイレクトで叩くと枝村が右サイドを抉る。センタリングに鈴木が競り勝つも、勢い無くゴール上へ。しかし5分、篠田が奪取して前の大瀧に渡すと、大瀧はキープしながらDFを引きずってあれよあれよとゴールラインまでドリブル。そこから低くゴールラインギリギリを平行移動したセンタリングは、枝村が流し込むだけで良かった。清水先制、1−0。 その後も、高山・森安が積極的に前でボールを奪っては、アウトサイドにフィード、固さの抜けない磐田を、ほぼ一方的に攻め立てるが、それは前掛かりの危険性を内包していた。10分、中央の渥美に最終ラインがプレスに行くと、前に出た右サイド裏にこぼされ、飛び出した神谷が全くのフリー。そのままドリブルで侵入すると、余裕を持って風間との1対1を制する。1−1。同点。これで、漸く磐田の固さが解け、積極的な中盤プレスが機能しはじめる。だが、これに臆することなく、清水は攻撃姿勢を崩さない。繋ぐ意識の高い清水がボール支配で優位を保つが、磐田は中盤勝負を避け、シンプルな裏へのロングフィードで牽制する。 22分、真希が奪うと簡単に大瀧に渡し、そこから大きなサイドチェンジ。枝村が右サイドを刻んでセンタリングを送るも、鈴木の頭には届かず。24分、浩太の奪取から即座にフィードも阿部が競り負ける。しかし、弾いたボールは大瀧が拾い、巧くキープしながらドリブル、先制点同様の展開でセンタリングに枝村が中距離でダイレクトで狙うも、ゴール右に外れる。その直後、相手ゴールキックを拾い左に展開すると、再び大瀧からセンタリング。真希が完璧に捉えた低い弾道のボレーは、GKが正面で弾く。
だが、後から振り返れば、攻勢にも関わらず、清水は追い込まれていた。磐田の組織的なプレスの前に清水の連携は付け焼き刃で、主軸たる浩太・阿部が消されていた。この2人に徹底マークを付けるのは当然のことだが、下級生中心の前線周囲の選手たちは、彼らをフリーにする動きよりも、自ら突破することを選択した。 「チャレンジとカバーリングの関係の歪曲」。 チャレンジ成功率の高い阿部や浩太が、チャレンジする周囲のカバーに追われて、試合から消えた。さらに最終ラインは、鋭い読みで中盤に飛び出してプレスを仕掛ける高山だけでなく、森安・拓也も同様にチャレンジしたため、カバーの動きは皆無に等しかった。特に清水の右サイドは一触即発の不安定さを、抱え続けた。 28分にはロングボールを競り切れず、磐田が森安を振り切って、左45度の角度から強烈なシュート。これは風間が弾いたが、倒れていた森安がクリアできず、再び同じ位置から危険なシュート。幸いにも、ゴールを外れる。ロスタイムには、またも中央から左サイド(清水の右サイド)の裏を破られ、1対1。これは辛くも相手シュートミスに救われた。
[後半] 後半開始と同時に、清水はポジションチェンジ。山本真希をFW、鈴木真司を左MF、大瀧義史を左ボランチに。大瀧を浩太の補佐役にしたことで、ある程度は浩太も持てるようになるが、逆にパスを受ける前線の4人が連携無視で突破を図る、「香車」を4枚前に並べたような状態。個人技志向に、拍車を掛けただけであった。 20分には、中央から左にスルーパスを出されると、DFが振られ、大杉の折り返しに中央沼野がフリー。落ち着いて決められ、1−2。逆転。続けざまに25分、CKをニアの大杉に軽く流し、神谷が詰めて、1−3。さらに30分には、左サイドからのハイボールに風間が競り負けると、笹垣が落としたところを冷静に神谷が押し込み、1−4。万事は休した。
それにしても、磐田は意気込みが違った。前述の通り、確かに東海大会出場2枠の内の順位戦に過ぎないかもしれないが、1位は愛知1位(名古屋)と対戦せずに全国切符を掴む機会を得られるのだ。磐田は序盤こそ固さもあったが、中盤での激しいプレス、そして自分たちは中盤を避け、ローリスクのロングフィード、逆転後の時間稼ぎなど、結果を追求する姿勢が伺えた。 対して清水は、この試合の意味合いを理解していたのであろうか? 抜群の相性を見せていた枝村ではなく、中学生の真希を浩太のボランチに組ませた。何より、先制点を奪った時の清水と、逆転に成功した時の磐田の喜び方の違いを見ると、明らかに気持ちの強さで後手を踏んでいたように思える。これで清水は「グランパスユース史上最強」の呼び名の高い名古屋を倒さずには、全国の地すら踏めない。相応の覚悟を持って、臨んでもらいたい。
(後日談) この試合、私が最も苛立ったのは、清水に「決戦」の意識が薄かったこと。しかし、実は東海の全国大会出場枠は昨年と同じ「3」で変わらなかったそうで。つまり、東海大会で名古屋に負けたとしても、3位決定戦に勝ち抜ければ、全国に出場できます。そうであれば、磐田相手でもリスクチャレンジを崩さなかったこと(悉く失敗したが)も評価できますし、東海大会で強敵である名古屋と戦っておくのも、悪くない。東海大会で優勝すれば、全国の組み分けで優遇されるかといえば、そうでもないことを、過去に清水自身が証明してますから(苦笑)。全く手前勝手な批判を反省してます。
▼試合結果 清水エスパルスユース 1−4 ジュビロ磐田ユース 得点:前半05分:清水・枝村 匠馬 (大瀧 義史 ・左クロス) 前半10分:磐田・神谷 優 (渥美 順仁 ・スルーパス) 後半20分:磐田・沼野 成吉 (大杉 健悟 ・左クロス) 後半25分:磐田・神谷 優 (大杉 健悟 ・ポストプレー) 後半30分:磐田・神谷 優 (笹垣 亮介 ・ポストプレー)
▼選手寸評 風間 翔太 4.0 ボールの処理に不安。コーチングも効果的なポジション修正がない。
杉山 拓也 5.0 突破技術は無双の成功率を誇ったが、自らの裏にスペースを提供。 森安 洋文 4.5 個人では空中戦・地上戦で優位を譲らずも、カバーリングの意識欠如。 高山 純一 5.5 全てに次元の違いを見せたが、振り回されて隙を見せる。 篠田 大輔 5.5 攻守で周囲を結合させようと奔走。大瀧・岡村の攻撃力を引き出す。
枝村 匠馬 5.5 突破・キープとも良好だが、拓也の攻撃参加後のカバーに欠けた。 山本 真希 5.0 高い個人能力で攻撃を司るも、周囲を「生かす」意識を保持せず。 杉山 浩太 5.0 余裕を得れば好機を演出したが、密着マークで全般には確度が落ちた。 大瀧 義史 6.0 僚友篠田の後援を得て冴えを見せる。ボランチ後は浩太の補佐に励む。
鈴木 真司 4.5 味方パスがズレた後の、守備の淡泊さが気になる。FWでは意欲的。 阿部文一朗 5.5 前半は生かされず。逆転後は自らも突破で好機に絡むも、結果出ず。
岡村総一郎 6.0 ドリブルという明確な目的を遂行すべく、阿部・篠田を上手く動かす。
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