2002年03月01日(金) |
今年度的清水エスパルスユース 2002年度版 |
−−−−−−−−−−−阿部2−−−−−−−−−−−
−−−−−大瀧2−− 杉山浩3 −−仁科3−−−−− (杉山拓3) −−−−−−−−枝村1−−−渡邊3−−−−−−−− (森安2) −−篠田2−−−高山3−−−天野3−− 杉山拓3 − (高柳2) (天野3) −−−−−−−−−−−山本2−−−−−−−−−−−
名前の横は学年。 中日本ユーススーパーリーグのパンフレットに、行徳監督によるものと思われる「予想布陣」が掲載されており、それによるとレアルなど今年のスペインで多く採用され、杉山茂樹氏大絶賛の4−2−3−1に取り組む模様。監督の予想なのだから、ほぼ、それに沿う形になるだろう(笑)。ただ、枝村と大瀧の位置を上のように入れ替えた方が、より機能すると思われる。 これと、ゼムノビッチ氏が総監督に就任以来導入された、フラット3ラインの4−4−2の伝統芸と、併用していくようだ。今年の3年・2年生は、Jrユースから流出せず多く残っており、Jrユースでも4−4−2(但し中盤は菱形)を採用していたため、違和感なく対応できるだろう。
▼前線 特徴的なのは前方の布陣。4−2−3−1は、4−4−2の亜流ではなく、4−3−3の亜流と評される。即ち、2列目は両サイドがやや前目で、中央は下がり目でゲームを作ることになる。 清水の場合、阿部(2年:01年U16選抜、02年二種登録)の1トップの下に、杉山浩太(3年:主将、02年二種登録、02年U19代表候補)を置く形だが、これを西澤−森島のような縦に並んだ2トップ(4−4−1−1)のように捉えると、失敗するだろう。阿部はマークを外す動きは下手で、幅広く左右に動いてスペースでフリーで受けるより、中央で強靱なフィジカルでマークに競り勝つのを得手にしている。一方、浩太は総じて能力は高いが、得点への最短距離を瞬時に見極める、独特の戦術眼こそが最大の魅力であり、あくまで「司令塔」。浩太に阿部のボールを拾う役割を負わせ、また浩太の視点に対して受け手が阿部だけでは彼の特性を制限してしまう。
従来の清水のアウトサイダーは、太田や日高など単独突破力が期待されていた。だが今年は、阿部の落としたボールを拾い、浩太のパスに反応すべく、周囲のスペースと呼吸を把握する判断力が、第一に求められる。この点から言えば、一人は仁科(3年:02年二種登録)で確定。敵味方に対して適正な距離を保つ判断力と、出足の速い反応速度には定評がある。一方、4−4−2にして仁科が2トップに入った場合、ライトサイダーは意外に駒が少なく、山本真希(中3:01年U14日本選抜)は、早くも有力な選択肢として、起用されそうだ。 だが、もう一人は難しい。走力自慢のドリブラーである杉山拓也(3年)は、左足の精度に不安は残すが、切れ込む鋭さとドリブルシュートには、シャドーストライカーとしての期待が大きい。しかし、将来有望な攻撃的レフティとして大瀧(2年:01年NT)の育成も考えたい。元来、司令塔型の大瀧だが、使われる立場として思考速度を高めることが、課題となる。この位置には、鈴木(1年:01年NT)や岡村(1年)といった期待の選手も昇格した。2人とも、ドリブル以外の武器は未完成で視野も狭いが、積極性が全面に出る有望株。突破力と積極性が短所とされる枝村(1年:01年U15代表候補、02年二種登録)は、その克服という目的以外の面では、ここで起用する利点はない。他に攻撃的MFは、上埜(1年:静岡選抜)や、途中交代では獅子内(2年:00年NT)・杉崎(1年)が、強引な突破による単独打開能力が期待できる。 阿部と浩太の代役は厳しい。司令塔としては大瀧・枝村が考えられるが、潰されて速攻の起点とされる危険が高い。阿部の代役となる大型FWは見受けられず、仁科・拓也や、小柄ながら強さと速さを持つ獅子内などを2トップで組み、動き回って前線を刺激させる戦術変更が必要だろう。
▼中盤 前線で1列目と2列目を説明したので、ドイスボランチについて。実際には、浩太はかなり深い位置まで下がってビルドアップに参加し、左右MFはアウトサイドに開いてSBと挟み込む守備をすることになる。トップ下に中心選手を固定する場合、積極的に狙われ、カウンターを仕掛けられやすい。DFラインの前で第一波を防ぐ「後見役」は、Jrユースで菊地が担当していたが、ユースで引き継ぐのは渡邊(3年:00年U16代表)か。相手の次の一手を見切る「読み」には卓越したものがあり、数的不利を凌ぐのは得意。 相方には、枝村が適切であろう。守備技術に長けた渡邊に対し、身体能力の高さを持ち、また得意とする大きな展開は、浩太による速く細かく激しい仕掛けに対するアクセントとなる。体の使い方が上手く、1対1でのキープと奪取に水準以上のものを見せる森安(2年)は、動きの質に不満は残るものの、逆にそれに長けた渡邊とは良い組み合わせといえる。ボランチ経験の浅い高柳(2年)も、守備面では読み・技術・高さともに不安はない。昨年からこの位置で起用されている大瀧は、高さ不足や当たりの弱さは仕方ないにしろ、攻撃面で機能できるように、判断速度を高めるなど工夫していきたい。
▼最終ライン 中心となる選手は、高山(3年:02年U19代表候補、02年二種登録)で疑いないが、彼はリーダーシップを発揮することが不得手にしている。一方、1年から高山と組んだ渡邊は、知性と勇気に満ちた統率力が光る選手。ただ、身長171cmの彼がCBとして昇格、そしてプロで活躍するの厳しい。 そうなると、高山と組むのは、天野(3年:99年U15代表候補)か高柳か。早くから実績を残してきた天野は、自信を持って積極的にコーチングをするタイプ。しかし、従来は攻撃的SBだった彼は、慌てて飛び込むなど判断力に問題を抱える。逆に高柳は、高山・渡邊に通ずる危機察知能力に優長し、高山の積極的なパスカットにも冷静沈着に彼のスペースを埋めることが期待できる。一方、しばしば消極性が見られる点は、DFライン統率の観点で頼りない。他には、小林(2年)・田淵(2年)・村越(1年)あたりが、起用されそう。
攻撃的MFが中に絞る傾向があるので、両SBは攻め上がりが求められる。右SBの最右翼は杉山拓也。瞬発力と持久力を兼ねたアスリート能力が魅力。90分間通し縦に長い距離を加速するが、守備面は改善されたとはいえ、問題を抱える。守備を固める必要が出た場合、天野や小林が、代役の有力候補か。他にも田淵(2年)・望月(1年)の他、長い加速距離を考えれば杉崎も面白そうだ。 他方、左SBは篠田(2年:静岡選抜)で固定的。今年、唯一の守備的レフティである。単独での打開能力に劣るものの、周囲との状況から上手くスペースを埋めるのが上手く、攻撃でも、機微を捉えたオーバーラップに熟達している。控えは杉山雄也になるだろう。高さと速さを兼ねた未完の素材ではあるが、現時点では致命的に当たりに弱く、また左足のレパートリーも乏しい。場合によっては、仁科・拓也を右からコンバート、或いは山本真希の抜擢も考えられるか。
▼GK GKは、昨年のサブ争い以来、山本海人(2年:01年U16選抜)が、勝又(3年:99年U15代表候補)を一歩先んじている格好。山本は身長190cmを超える、清水育ちで待望の大型GK。ハイボールの競り合いには当たりへの強さも見せ、際立って高いDFのいない今年のユースでは、セットプレー対策などから必須の選手。一方の勝又だが、ハイボールに対して伸び上がるようなセービングが武器。オープンプレーは苦手にするなど、山本と特徴が重なる分、現状は実力差以上に厳しい。むしろ、小柄ながら読みが鋭い風間(1年:静岡選抜)にチャンスがあるかもしれない。
◆代案 −−−−−−−−仁科3−−−阿部2−−−−−−−−
−−大瀧2−−−−−−−−−−−−−−−天野3−−
−−−−−−−−枝村1−− 杉山浩3 −−−−−−−
−−篠田2−−−高山3−−−渡邊3−− 杉山拓3 −
−−−−−−−−−−−山本2−−−−−−−−−−−
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