2011年09月27日(火) |
Under the Rose 7巻 |
小説でも漫画でもドラマでも恋愛成分はどうでもいい私ですら、この漫画の愛を巡るすべての悲劇と確執から目が離せない。 「Under the Rose」7巻はそろそろ幸せの足音がしてもいいのではなんて楽観視してたら、より暗い深淵に突き落とされた気持ちです……。
なんという危うい均衡。ロウランド伯爵家の一見平和な日々が、軋み始めている。堅牢なはずだった城が、柱を一本抜いただけでもう砂上の楼閣に等しい。大人たちのゆがんだ関係性と子どもたちのまっすぐにのびてゆく精神性、その狭間で不安定に揺れる16歳のウィリアムは、大人が減ることで否応無しに子ども側から完全に移行せざるを得ず、バランスを崩していく。 模範的な貴族たらんとするグレゴリーの根底を揺さぶる出生の秘密。
駅でのスタンリーと伯爵のシーンが白眉。痴話喧嘩のような繰言のような、あのやり取りを延々と続けることで、明るく絶望に満ちた旅路に説得力が出る。どうしようもない愛情に負けてしまったスタンリーの清らかさと、伯爵の男としてのずるい部分が浮き彫りになる。
こんな告白の後だから、今から8巻が待ち遠しくて仕方ないです。 何年先かなー……。
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