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海老日記
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2007年11月01日(木)
伯爵日記・伯爵とビーム5人衆


「ご迷惑をおかけしました」
 街角でいきなり『えぐいビーム』を撃ってきた女の子は誤解が解けると普通に謝ってくれた。
 よかった、一応話の通じる人らしい。
「ごめんなさい。ぼく弟のことになると頭に血が昇っちゃって……」
 一人称が僕の女の子に会うのはこれで二人目だ。意外といるもんだなあ。

「いえ、幸い怪我もしなかったし、僕のことは忘れてください。ではおさらばです」
 僕はそろそろこの場から離れたかったので別れの言葉を切り出した。
 すると、それまで申し訳なさそうにうつむいていたあの男の子の方が僕に問いかけてきた。
「あの、何も聞かないんですか?」
 まあ、普通は知りたいんだろうなあ。
「他人の事情ってあんまり興味ないんです。誤解が解けて、僕がもうビーム」
「えぐいビームです」←姉の方
「そのえぐいビームで撃たれる心配がなくなったんなら、別にいいかなって」

 本当のところは半分はそろそろおなかが減ったから帰りたいであり、もう半分はそういうことであったけれども。



「できれば、今あったことは、秘密にしてもらえないでしょうか」
 少年はそういうけれど、先月寝冷えビーム売ってたのに……。
「僕たちプルトップ星人は地球では、商業目的以外でのビームは禁止されているんです」
 ああ、つまり弟の敵討ちにビームを撃つのは駄目なんだ。
「それなら大丈夫ですよ。僕はどこに申告すればいいのかも知らないですし。っていうか、弟くんですよね、ビーム撃てなくされたって怪我でも負わされたのですか?」
 それはちょっと心配だった。
「いえ、大丈夫です。『骨バキバキビーム』を指に当てられただけですから」
 そいつもビーム撃つのかよ。
「あの、今更ですけれど、最近はビーム撃てたり宇宙人だったりって、普通のことなんですか?」
「はい、地球には今350名のプルトップ星人が出稼ぎに来ているのです」
 ふうん。じゃあ
「あなた達お二人もその、プルトップ星人なわけですか。まあ、ようこそ地球へ」
「ありがとうございます」
「でも、その透明人間X伯爵もプルトップ星人なわけですか」
「いえ、伯爵は高知県を支配するためにやってきたフラストレーション星からやってきた悪人です。寝冷えビームを使える僕を仲間に引き込もうとしたのですが、拒否したら……」
 ひどいことをするもんだなあ。さすが悪人だ。
 でも僕だったらお姉ちゃんの方を誘うけれども。
 えぐいビームとか、頭に血の昇る性格とか……。

「でも、あれですね。水面下で高知県危ないことになってきてるんですね。僕にはあんまり危機感の感じ取れない話ですが」



 つまりあれか、プルトップ星人は出稼ぎ労働者で、フラストレーション星人は外国のギャングみたいなものか。



「あの、もう一つだけ教えていただいてよろしいですか? お二人学校行かれてます? その制服とか」
「ああ、これですか。ホームステイ先の三井さん宅の娘さんの服を借りてます」
 もうちょっと、普通な服借りればいいのに。