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海老日記
管理人(紅鴉)
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2005年05月13日(金)
『ぐし』

 何かに名前をつけるというのは楽しいもので、色々と身の回りのものに名前をつけて遊んでいる。傍から見れば悲しい姿にみえるのだろうけれども本人が楽しいので別にいい。

 そんなわけで、ぐしの話。

 ぐし、というのは私の今住んでいる家の周りにいる。ぎゃーすと鳴く特徴的な黒猫で、朝など見かける時はボールのように体を丸めて塀の上に座っている。太ったぐしは首をすぼめると毛皮を着ているようなボリュームに見えて(もともと毛皮を着ているわけだが)ものすごく偉そうに見える。顔つきも妙に可愛くない。
 そこらへんが気に入って私はぐしと呼んでいる。

 私の部屋の玄関を見張っているかのように塀の上で丸まり続けるぐし。
 私は今日も彼を無視して学校へと向かう。

 農学部生の私の普段の生活は、学校が終わるとすぐに朝倉に向かう。基本的に平日はすべて朝倉に行く用事があるのでJR片道一時間半かけて隣町へ向かう。早く免許の必要な乗物を手に入れるべきだ。
 それで、かえって来る頃には日付が変わっている。
 その頃には、なぜかぐしはどこにもいない。
 どこか自分の寝床に帰っているのだろうけれども、いないとなると逆に気になってくる。しかし朝になればやはり玄関の前に座っている。
 何者だ?

 


 ある晩、ぐしを見かけた。民家の庭先で、お婆さんに毛並みをくしで整えられている太った猫。
 ああ、ここの家の猫だったのか。私は納得して家路につく。
 けれど待てよ?

 あの家、廃屋だったよな……


 朝起きると、ぐしは玄関にいる。