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2008年03月03日(月)

まだ見ぬ君へのラブレター


「ボス、日本からお電話です。」

電話の子機を持ってきた部下から獄寺がそれを受け取り、綱吉に渡す。
綱吉は電話を受け取り、通話に応じた。
相手が誰かわかると嬉しそうな声になり「元気?」などと会話が弾み始めた。
電話の相手を察し、獄寺は綱吉のために飲み物を取りに行く。
飲み物を持って戻ってくると丁度綱吉が通話を終えたところだった。



まだ見ぬ君へのラブレター



「女の子だって!」

休憩にしましょうといわれ、獄寺の入れてくれた紅茶を飲んでから綱吉は嬉しそうに報告する。獄寺も嬉しそうに笑顔で頷く。

数ヶ月前、世継ぎ問題でボンゴレ古株からお叱りを受けた綱吉は苦肉の策で代理母を立て、世継ぎを作るという選択をした。
先ほどのはその代理母からの報告の電話だったのだ。

「きっと10代目にそっくりな愛らしい子が生まれますね。」

獄寺はにっこりと笑って言った。綱吉は苦笑する。
本当に獄寺は自分に対して盲目的だと綱吉は思う。
嬉しいことではあるが、出会ってもう10年になるが未だに気恥ずかしくなる。

「母親に似たほうが断然可愛いと思うよ。」

軽く否定はしてみたが、案の定「そんなことありません!」と力強い否定を返された。

「でも、俺に似たほうがいいかもね。そしたら獄寺君にすっごく可愛がってもらえそう。」

言い終わったあと、くすくすと笑いながら紅茶を口につける。獄寺も「勿論。」といってコーヒーに口をつけた。

「あぁ、でも・・・絶対にお嫁に行かせたくなくなっちゃいますね。」

思いついたように獄寺が言ったのを聴いて綱吉は「うわぁ・・・。」ともらした。

「お父さん・・・だねぇ・・・。」
「はい、次の俺の目標です。」

獄寺がずっと言っていた綱吉の右腕になるという悲願はすでに達成されている。

「うん、俺も獄寺君にお父さんになってほしいな。」
「はい、おまかせください!」
「じゃあ、まずは名前考えてね。」
「はい!!・・・って、ええぇ!?」

さらっと言った綱吉の言葉の重大さにワンテンポ送れて気付いた獄寺はひどく驚いた。その様はまるでアニメでも見ているようにテンポが良かったので綱吉は思わず声を出して笑ってしまった。

「そんなに驚かないでよ。ずっと考えてたんだ。獄寺君に名付け親になってもらおうって。」

おかしさを一通り笑いに変えて吐き出してから綱吉はにっこりと微笑んで獄寺を見つめる。獄寺もまっすぐにそれに向かい合った。
獄寺は「いいんですか?」と訊いてきたが綱吉は微笑んでもう一度「獄寺君に名付け親になってほしいんだよ。」と答えた。

「名前って生まれて初めてもらえるプレゼントだし・・・。獄寺君ならきっと素敵な名前を考えてくれるよね。」

愛する人にそんなことを言われて嬉しくならないはずがない。

「解りました。そちらもお任せください!!」
「うん、お願いね。あ、でも・・・あんまり子供ばっかり構っちゃダメだよ?俺、きっと拗ねちゃうから・・・。」
「10代目・・・。」

えへへと笑って頭をかく綱吉にいとしさが溢れてくる。
獄寺が席を立ち、綱吉の下へ歩み寄り跪いて手を握り甲にキスを落とした。

「10代目、俺の一番は今も10年後も20年後もそのずっと先もあなただけです。それはご存知ですよね。」

綱吉は照れて笑った。

「知ってる。」

不安になるたびに優しく応えて安心をくれる。
好き、大好き、愛してる。欲しい言葉を全部くれる人。
だから綱吉は他の誰でもない、獄寺とずっと一緒にいたいと思った。
繋がっている想い、絆。
これから生まれてくる子供にもそういう人が現れますようにと綱吉は願う。

(それまでは、俺と、獄寺君が精一杯愛してあげるから・・・。)

早く、逢いたい。俺たちの愛しい子・・・。


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あとがき。

ほんのりラブを頑張って取り入れましたが、手の甲のキスがなければ何がしたいのかよくわからない獄ツナ小説です。ブフゥ。


      

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