冒険記録日誌
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2017年02月05日(日) ドラゴンロック 浮遊要塞の死闘(井上尚美/双葉文庫)

 双葉ゲームブックの一作です。昔、古本屋で発掘した当初は、ファミコンでは聞かないゲーム名だから原作はPCエンジンあたりかな?と思っていましたが、オリジナル作品でした。
 井上尚美さんのオリジナルゲームブックといえば、少年魔術師インディが有名ですが、こんな作品もあったのですね。

 ストーリーは幼いころに辺境伯なる侵略者にファルコン公国を滅ぼされたお姫様レミーが、国を奪還するために戦うというもの。
 表紙イラストはややリアル系に描かれた、剣を構えて敵を見据える凛々しいレミーの姿で、少年魔術師インディよりは若干高めの年齢層向けに書かれている雰囲気。典型的な剣と魔法の世界を舞台にしていながら、冒険は探索や相手との交渉が主で、むやみと襲ってくるモンスターと戦うといったシーンは皆無というのも珍しい気がします。
 ちなみに主人公はレミーではなく、父親がファルコン公国の近衛隊長だったロムという少年で、幼馴染でもあるレミーに戦士としてお供するという設定です。
 勝気な性格で戦闘でも宝剣を振り回して戦うようなレミーを中心に話は進むうえ、イラストでもハイレグ水着鎧を装備しているレミーがさらに目立っていますので、もうレミーが主人公と言っていいんじゃないかという気もしますけどね。
 ファルコン公国が滅ぼされて年月がたち、かつての公国の支持者勢力も自然解散していったとのことで、今でも残っている他の仲間は、宮廷魔術師の血を引くガーディという名前のリザド族(要するにリザードマン)の魔法使いだけ。つまりたった3人の戦力で国を取り戻そうという、戦国シュミレーションゲームならもう無理ゲーというスタートです。

 ルールは3人それぞれのCP(キャララクターポイント)の管理とアルファベットのフラグチェックくらいでシンプルです。
 パラパラとページをめくって、ページの端にあるマークを引くというランダム要素はありますが、これはガーディの魔法の成功判定のみに使用が限定されているうえ、ガーディが魔法を覚えるのは中盤以降です。体感的には前回感想を書いた「イース 戦慄の魔塔」と同じく、フラグの多い分岐小説といった印象でした。
 序盤から終盤手前までの展開は、ファルコン公国復興への協力者を探して、ネメス大陸の各地を船や街道を旅してまわるというもので、世界の広大さはそれなりに感じられます。一方向システムですが、フラグ処理によってよく管理されているので、割と自由に次の行き先を選択できるのも好み。
 ただ、クリアに至るルートはある程度限定されるようです。一応、少年魔術師インディでいう魔術の書にあたる「ファルコン公国ことわざ辞典」が存在し、辞典内に書かれている各種ことわざが攻略のヒントになっているのですが、それでも裏切り者のところで捕まったり、精霊に力を吸い取られたりと、何度もゲームオーバーになりました。
 そういったルート選択の難しさもあり、さすがに社会思想社や創元推理文庫あたりのゲームブックよりは楽とはいえ、双葉ゲームブックの中ではクリアは難しい方かもしれません。
 特に中盤に遭遇する「塩の迷宮」は問題。三角形の部屋が延々とつならる迷路で、各部屋に散らばるアイテムのほとんどを回収して回らないと、迷路は脱出できても終盤で必ず手詰まりになるのでマッピング&繰り返しプレイが必須です。

 終盤はタイトルにある辺境伯の新しい兵器である、浮遊要塞ドラゴンロックに潜入して、動力源を断ち切って墜落させるというなかなか派手な展開をみせます。仇敵である辺境伯は、最後まで直接登場することはなく、今回はその腹心の魔術師を倒したに過ぎず、壮大な物語の序章みたいな終わり方でした。
 巻末には「ドラゴンロック2 近日発売」と宣伝があったので、持っていないけど入手できそうなら買ってみようかな、と調べたのですが、続編は結局発売されなかったようです。 
 残念なのですが、エピローグの最後の一文が

ぼくたちの戦いはこれからだ。(原文まま)

という時点で、嫌な予感がしていたんですよねぇ。


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