![]() |
ラークの煙 - 2002年08月01日(木) 海の家はもうどこも店をしめ、 海岸にはまばらな人。 その夏はあっというまに過ぎ、 今にも秋風がふくだろうという時期にさしか かっていた。 ただ海が見たかった。 そして、久しぶりに話をしたい友人が 海辺の町に住んでいた。 俺は、何年かぶりに電話をし、もう一人の友と いっしょに海岸へやってきた。 海には似合わない白い肌。砂浜に腰をおろし、 たくさんのことを話した。 女や海とは違う、俺たちの話を。 あわてて社会へと押し出された俺たちには 時間が必要だったのかもしれない。 たくさんのことに戸惑っていて、それを何とか しなければならなかった。 誰もおしえてはくれなかった。自分で考えていくしか なかった。 それは、今も変わらない。 友人は、かろうじて見つけたものに何とか心を支えても らっていた。 昔と変わらずに、ラークをひっきりなしにふかしていた。 野良犬がうろうろと何かを探していた。 日が暮れるまで俺たちは語り、 そして、自分たちの場所を確かめあった。 - 新しい仲間 - 2002年07月31日(水) 椅子ではない、ちょっとした場所に腰かけて 船を待っていた。 いつ船がやってきて、島へいけるのか俺たちは 知らなかった。 時間はいくらでもあった。 少しずつ、人が増え、それをじっと観察していた。 ひとりの小柄な若者がスキーバッグみたいな ものをひきずるようにしてやってきた。 そのバッグは、こんな海辺で行動するにはとても不似合いなもの で、いったいどうしたんだと誰もが疑問に思うようなほどだった。 若者は、一人でその顔はあどけなく少年といってもよかった。 暇な俺たちは、時間をもてあまし、いつのまにか若者と話しをし、 どこへ行くんだとか色んな話になっていた。 そして、バッグの中身はスキューバーダイビングのセット一式 だとわかった。 それは、完全に失敗であっただろう。 しかも、わざわざ西から何十時間もかけてバスでこの港まで やってきていた。 素もぐり専門の俺にはダイビングの魅力が全くわからなかった。 若者は、とても頼りない感じがしたが、とても親しみやすい何かを もっていた。 新しい仲間ができた。 何時間かして船がやってきた。 俺たちは、船に乗り、美しい島で何日かを共にした。 - マシンガン - 2002年07月26日(金) まだ何もわかっていなかったし、 何かを知ってもいなかった。 ただ、若いということだけだった日々。 砂浜をせわしなく歩き時には走り、目はすごい勢いで獲物を 探していた。 どうも、こんにちわ。そこぬけに陽気な声。 そんな一声から始まりマシンガントークが続いていく。 声をかけられた女の子たちは、ポカンとしていたが そのうち笑い出し始めた。そうなればもう何の問題も なかった。友達だ。 だめなときもあった。じっとして何の答えも返ってこない。 険しい目でにらまれることも。 でもそんなことは気にしていないようにしていた。 俺たちの間では、どうせ二度と会うことなんてないんだからさ、 というのがひとつの励ましになっていた。 昼の時間は、砂浜を駆け回って、一番のお気に入りの子を探す のについやされた。 俺たちは、一番気に入った女の子たちのグループを夜の花火へ と誘い出すことに成功した。 少し照れながら、そして、会話をきらしちゃいけないとあせりなが ら皆がしゃべりまくっていた。 夜の砂浜は静かで、ここちのよい風が吹いていた。 空にはものすごい数の星が輝いていた。 次から次に流れ星がながれていった。 俺たちは、何もわかっていなかったし、 何も始まっていなかったが、 嘘はどこにもなかった。 今を生きていた。 -
|
![]() |
![]() |